冠水した道路を移動する人たち(20日、カインホア省)
ヴェトナム中部で、数日にわたる豪雨で発生した洪水や土砂崩れによる死者は、23日までに少なくとも90人に上った。12人が行方不明になっている。
ヴェトナム政府によると、国内で18万6000戸の住宅が損壊し、300万頭以上の家畜が流されたという。被害総額は数億ドルに達すると当局は推定している。
山岳地帯のダクラク省が特に深刻な被害を受けてる。AFP通信によると、11月16日以降、60人以上の死者が記録されている。
ヴェトナムはここ数カ月、異常気象に見舞われている。9月末の台風20号(ブアローイ)と11月初めの台風25号(カルマエギ)が、多くの死者と破壊の痕跡を残した。
当局によると、23日朝の時点で約25万8000人が停電の影響を受け、主要高速道路や鉄道の一部区間は封鎖されている。
軍と警察は、最も被害が大きい地域に派遣されている。
政府によると、国内南部と中南部の5省、クアンガイ、ザライ、ダクラク、カインホア、ラムドンで最も深刻な被害が確認されている。
ダクラク省の農民マック・ヴァン・シー氏はAFP通信に対し、「私たちが住む地域は完全に破壊された。何も残っていない。何もかもが泥に覆われてしまった」と話した。
現在、主要20カ国(G20)首脳会議(サミット)に出席するため南アフリカを訪問中のファム・ミン・チン首相は23日朝、緊急のオンライン会議を開いた。
ヴェトナムの複数地域では、21日までに降水量が1500ミリを超え、一部では1993年の洪水時のピークだった5200ミリを上回った。雨は今後数日で弱まる見込み。
科学者たちは、人為的な気候変動によってヴェトナムが極端な気象現象の影響を受けやすくなっていると指摘している。気候変動によって、強力な台風の発生頻度が増している。
