2025年12月13日(土)

BBC News

2025年11月28日

パレスチナ・ヨルダン川西岸地区のジェニンで、ガレージからパレスチナ人が現れる前に、壁際に立つイスラエル兵ら(27日)

イスラエルの治安部隊が、占領するパレスチナ・ヨルダン川西岸地区で、投降したとみられるパレスチナ人2人を射殺する映像が27日、浮上した。パレスチナ自治政府(PA)は、イスラエル軍が「戦争犯罪」を犯したとして、「残忍」な現場処刑だと非難した。イスラエルの軍と警察は、調査中だとしている。

この事案は、イスラエル軍によるジェニン市での作戦中に起きた。

映像では、パレスチナ人男性2人が両手を上げて建物から出てくる。男性らはイスラエル国境警備隊員らに包囲され、地面にひざまずく。男性の1人はTシャツをまくり上げ、武器を持っていないと示そうとしているように見える。

しばらくして、2人は建物内に戻ろうとする。その直後、国境警備隊員が発砲し、2人を殺害した。

この映像が明るみに出たのを受け、イスラエル国防軍(IDF)と警察は共同で声明を発表。隊員らは、治安部隊に爆発物を投げつけ、発砲するといった「テロ活動」をした指名手配中の人物を拘束しようとしていたのだと説明した。また、射殺した2人は「テロ組織と関係があった」とした。

声明はさらに、「隊員らは現場に進入し、容疑者らのいる建物を包囲し、数時間に及ぶ投降の手続きを開始した」と主張。「建物に対して工学的な道具を用いた後、容疑者2人が出てきた。出てきた後、容疑者に向けて発砲が行われた」とした。

イスラエルの極右政治家イタマル・ベン・グヴィル国家安全保障相は、関与した隊員らを全面的に支持し、「テロリストは死なねばならない」とソーシャルメディア「X」に投稿。「戦士らは期待されている通りに行動した」と書いた。

イスラエルは作戦は必要と

イスラエルはここ数カ月、西岸地区の北部の都市で作戦を展開しており、今回の事案があったジェニンでの作戦は、その一環のもの。

イスラエルは、自国兵やユダヤ人入植者らへの攻撃に関わったパレスチナ武装組織に対処するため、こうした作戦が必要だと主張している。

イスラエル軍は26日にも、ジェニンの近くの都市トゥバスで作戦を開始した。

西岸地区での暴力は、2023年10月にイスラム組織ハマスがイスラエル南部を襲撃して以来、激化している。このハマスによる襲撃を受け、イスラエル軍はガザ地区で壊滅的な軍事作戦を実施した。

国連によると、ハマスによる襲撃以降、西岸地区でイスラエル軍や入植者によって殺害されたパレスチナ人は1000人を超える。これには武装組織の戦闘員と民間人が含まれる。

一方、イスラエルは、パレスチナ人による攻撃やイスラエル軍の作戦への従軍で、イスラエルの兵士と民間人合わせて少なくとも44人が殺害されたとしている。

(英語記事 Israeli troops kill two Palestinians after they appear to surrender

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c783wwd0jzdo


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