2025年12月13日(土)

BBC News

2025年11月29日

シャイマ・ハリル東京特派員、コー・ユー記者(シンガポール)

東京高等裁判所は28日、同性婚を認めない現行法の規定を「合憲」だとする判断を下した。婚姻の平等への期待を高めていた全国の流れに逆行する判決となった。

日本では、同性婚を認めない今の法制度は憲法に違反するとして、同性カップルらが各地で国に対して損害賠償を求めている。これまでに5件の訴訟について、各地の高裁が同性婚を認めない法制度を違憲としてきた。

日本は主要7カ国(G7)の中で唯一、同性婚を認めず、明確な法的保護も与えていない。一方、アジアではこうした例が多く、同性婚を認めているのは台湾タイ、ネパールのみ。

報道によると、判決を言い渡した東亜由美裁判長は、同性婚に関する法律はまず国会で審議されるべきだと述べた。

裁判所の外ではこの日、原告団が「不当判決」と書かれたプラカードを掲げた。

原告の一人の河智志乃氏は記者団に対し、この判決は「理解に苦しむ内容」だったとメディアに語った。

「司法とは何なのか。私たちを見ているのか、次の世代のことを考えているのか」

河智氏のパートナーの鳩貝啓美氏は、「非常に憤っている」と述べ、「司法は私たちの味方ではないのか」と疑問を呈した。そのうえで、「引き続き頑張りたい」と付け加えた。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは声明で、この判決を「平等への道を逆行」と表現。「訴訟が最高裁に進む間にも、政府は立法によって問題を解決することが可能である(中略)政府は婚姻の平等の実現に向けて積極的に動くべきだ」と述べた。

28日の判決は、2019年から2021年にかけて東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の5カ所で提起された6件の同性婚訴訟における、最後の高裁判決にあたる。

そのうち5件は、同性同士の婚姻が禁止されているのは違憲だと判断したが、原告の損害賠償請求は退けた。

今回の東京高裁の判決は、日本で同性婚の合法化を後押ししていた一連の判決の中で、唯一の例外となった。

一連の訴訟は次に、最高裁に持ち込まれる予定。

(英語記事 Japan's same-sex marriage ban is constitutional, says Tokyo court

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cg4n5gpp7kno


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