2025年12月13日(土)

BBC News

2025年12月2日

日本と中国は長年、尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐり対立してきた

ギャヴィン・バトラー

東シナ海に浮かぶ、地政学的に争いの対象となっている島々の近くで、中国と日本の海上保安当局の船舶がにらみ合う事態が発生した。両国の当局はそれぞれ、異なる説明をしている。

中国海警局は2日、日本の漁船が尖閣諸島(中国名:釣魚島)の海域に違法に侵入したと発表した。中国政府は「釣魚島」が中国の領土だと主張しているが、日本が実効支配している。

一方、日本の海上保安庁は同日、尖閣諸島周辺の領海内で日本の漁船に近づこうとした中国海警局の船舶を退去させたと発表した。

両国の間では、日本の高市早苗首相が台湾について先月発言した内容をめぐり、外交関係が悪化している。

中国と東シナ海周辺での中国の活動にきわめて批判的な姿勢で知られる高市首相は11月7日、衆院予算委員会で野党議員の質問に応じる形で、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と答えた。

中国政府は台湾を自国の領土だとしている。中国は武力で台湾を手に入れる可能性を否定していない。

高市氏の発言を機に両国は、互いに強硬な発言を重ね、対立の度合いを強めている。広がる溝は、両国民の日常生活にも影響を及ぼしている。

台湾は、尖閣諸島の南西約160キロに位置する。

中国国営メディアによると、中国海警局の劉徳軍報道官は、中国の船舶が2日に「中国の釣魚島の領海に違法に侵入した」日本の漁船に接近し、退去を警告したと述べた。

劉報道官はさらに、海警局が「必要な法執行措置」を取ったとし、島々は中国の領土だと主張。日本に対し「この海域でのすべての侵害行為と挑発行為を直ちに停止するよう」求めた。

一方、日本の海上保安庁の説明はこれとはやや異なり、2日未明に中国の船舶が日本領海に入るのが確認されて間もなく、中国船に接近し、退去するよう求めたと述べた。

海上保安庁によると、同庁の巡視船は、中国海警局の船が数時間後に領海を出るまで、漁船の安全を確保したという。

日本と中国は2008年に、両国を隔てる東シナ海で資源を共同開発するという原則的な合意を結んだが、この15年の間で緊張は高まっている。

無人の尖閣諸島(中国名:釣魚島)は、両国の間の争点となっている。

中国は、島々へ派遣する船舶の数を増やしている。これは、日本の防衛意思を試しているものとみられている。

中国政府の船舶がこの領域で確認された日数は昨年、3年連続で過去最高を記録した。また、海域で活動する海警局の船舶の数も過去最多となった。

2日朝の事案以前に、海警局が尖閣諸島周辺の海域に最後に入ったのは11月16日だった。海警局は当時これを、「権利と利益を守るために、中国海警局が実施した合法的な巡回活動」と説明していた。

(英語記事 Chinese and Japanese boats face off near disputed islands as feud worsens

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cnv25em6798o


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