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ベトナムは1987年に初めて海上の白虎油田で生産を始め、その後石油の採掘は高度成長期に入り、石油輸出国となった。現在、ベトナムは我が国の九段線地域を数十の区域に区切って石油メジャーに開発させている。1990年代後半になると石油産出は安定期に入り、1998年から2003年の間の年間成長率は3.11%、2012年の総産出量は1670万トンだった。沿岸でも天然ガス田が発見され、2002年から2009年に年間21%増えた。
ベトナムは原油輸出国だが、長年にわたり石油精製能力に欠き、製油輸入国でもある。初の製油工場で精製が始まったのは2009年であり、製油輸入局面をやっと変えられるようになった。とはいえ石油・天然ガス資源の需要の激増、石油の採掘は頭打ちで新たな大油田を発見できなければ石油生産は減少に転じるとされている。
中越の南シナ海での石油紛争
1992年に米クレスト社と中国海洋石油社は「万安北」灘の21区画での開発に調印した。同海域の面積は2万5155平方キロ。1994年4月にクレスト社は我が国の「実験4号」探査船で初の海上探査作業を行った。ベトナム側は5隻の武装船を出して監視、妨害した。そのため探査船は作業を終えずに帰還し、我が国初の南シナ海での探査は棚上げされた。ベトナム側はその後、この地域に入り込んで探査作業を行った。
こうした事件から20年経って「海洋石油981」リグはついに我が国南シナ海南部において初めて探査を行った。5月4日からの中越の摩擦が示すのは、圧倒的な軍事的優勢が石油・天然ガス探査での決定的要素となっているということだ。この度の摩擦は一つの開始にしか過ぎず、中国政府は全力で「海洋石油981」の探査作業を守らなければならない。
南シナ海での石油開発のリスク
2013年に我が国の石油産出量は2億1000万トン(2.1%増)であり、原油輸入は2億8200万トン(同4%)、消費量は4億8700万トンだった。我が国のエネルギー安全保障を守るためには我が国は国内供給能力を保持し、原油生産量を増やし、対外依存度を下げる必要がある。