山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2014年8月19日

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 ここで気が付かされたのが、シェフの「摺り合わせ技術」だ。食べている時はイタリアンの印象だが、上手に日本と西洋が融合しているので食事が終わってみると京料理を頂いたと感じてしまう。

 日本人の「摺り合わせ技術」が世界をリードしているのは誰しもが認めるところだ。レアメタルやレアアースの素材はハイテク技術の機能性材料や電子材料に利用されるが、いわば、その味付けのような役割をしている。

 例えば日本の自動車産業がハイブリッドカー(HEV)や電気自動車(EV)を新規に開発する場合には、周辺の電子部品もエンジンの能力に合わせて開発しなければならない。その時に必要なのが「摺り合わせ技術」だ。新規技術に新機能が必要な時に新素材としてのレアメタルやレアアースが決め手になり、磁性材料や電池材料やコンデンサ材料を馴染ませていく。新技術の世界ではレアメタルは新しい食材なのである。

 この摺り合わせ技術を発揮するために必要なのが「設計思想」だ。日本の技術者が韓国や中国に出稼ぎに行っているが、実際には技術移転の多くはノウハウの部分で「設計思想」まではなかなか移転できないと聞く。

 作りたいモノの全体像を描く「設計思想」を身に付けるには、大学の研究室を含めると20年以上の経験が不可欠だ。

 料理人も徒弟制度で調理場に入って料理を任せてもらうまでに5年や10年はすぐに経つ。この経験によって、東西の食材を摺り合わせる「設計思想」が得られるのだ。

 日本人がこの繊細な「摺り合わせ技術」で付加価値を創出して産業界や料理界に貢献する限り日本の将来は楽しみである。グローバル化の本質とは自国の得意な分野で世界を席巻してゆくことなのだから。

◆Wedge2014年8月号より









 

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