豪ロウィー研究所国際安全保障プログラム主任のメドカーフが、7月9日付 Australian Financial Review掲載の論説で、豪議会での安倍総理の演説は、インド・太平洋におけるパートナーシップ強化を謳った適切なものであった、と評価し、両国の一層の協力強化を求めています。
すなわち、安倍総理の豪議会での演説は、感動的で、面白く、内容のあるものであった。それはまた、巧妙でもあったから、演説のアジアにおける戦略的重要性を見落とした聞き手もいたかもしれない。
安倍総理の演説は、かつて敵国であった両国の関係における、画期的な出来事である。安倍氏は、豪日が、如何に寛容かつ実利的に歴史を超克し、不可欠な経済的パートナーとなったか語った。安倍氏は、最近合意したFTAと豪のエネルギーの日本経済に果たす役割を強調し、潜水艦技術についての協力に道を開く、防衛技術協力も宣言した。安倍氏は、安倍政権とアボット政権による二国間関係強化を「特別な関係」にする、と確約した。
しかし、もっと大きな背景もある。安倍総理は、新たなメッセージを日本、アジア、世界に発信する舞台として、キャンベラを選んだ。このメッセージは、彼が目指す、より自信のある日本にとっての、戦略的役割に関するものである。安倍内閣は、戦闘中であっても、自衛隊が同盟国、パートナー国を援護できるよう、平和憲法について、歴史的再解釈をした。これは、日本の防衛態勢強化への一歩である。日本は、数十年にわたり、国際社会の良き一員であったので、ルールに基づいた秩序の支持において、より積極的な国家となる、権利と義務がある。
キャンベラでの演説は、安倍総理にとって、日本の防衛改革に、より広いビジョンの中で適切な地位を与えるための、歓迎すべき機会となった。彼は、豪日が、ラグビーのようにスクラムを組み、地域と世界の秩序を促進し平和を護る方向に動いている、と言った。また、太平洋からインド洋にかけての広大な海が自由でオープンに保たれることを保証する必要性についても言及した。
中国が自己主張を強化し、威嚇を強めているので、日本その他の国々は、多数の国で組むことで、安全を確保しようとしている。日本は、米、印、豪、インドネシアと同様、インド・太平洋の概念に沿って行動している。両大洋にまたがる地域の国々の、経済的結びつき、エネルギーの相互依存は、南シナ海問題のような、安全保障上の緊張を、単なる局所的な問題として無視できなくさせている。中国と同様、日本もシーレーン防衛に利害を持っているが、広大なインド・太平洋を支配できる国はない。安倍氏の演説は、インド・太平洋の安全確保における、米を含むパートナーシップの役割を、適切に強調した。