世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年8月22日

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 ただし、日本に、米国が衰退しているとして、日本中心の対中準同盟システムを考える者がいるとすれば、すぐに、そういう野望を穏健化させなければならないことに気付くであろう。如何なる場合も、米国の地域的リーダーシップは終焉からは程遠い。もちろん、豪日だけで出来ることはある。豪日軍は、第三国を含んだ、共同訓練を実施し得るし、そうすべきである。防衛技術協力は、準同盟の文脈でなくとも、さらに進め得る。豪日と第三国は、海洋における監視を強化し、威嚇ではなく、ルールに基づいた原理を主張するために、互いに助け合うべきである。

 ケビン・ラッド元首相が想像したように豪が中国に対して率直な友人としての役割を果たすことは出来ないかもしれないが、日本に対して、豪がそういう役割を果たすことを目指せない理由はない、と述べています。

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 メドカーフは、豪州の正統的保守派の論客の一人です。論説の冒頭から、豪議会での安倍総理の演説を絶賛し、あまりに巧みな演説なので、聴く人は、その戦略的意義に気づかなかったかもしれない、と述べて、その意義を強調しています。

 集団的自衛権行使については、日本が普通の国際的市民となったとして、評価しています。メドカーフが否定的な書き方をしている、日豪間の準同盟関係は、米国を抜きにしての話ならば、ということであって、日豪関係を準同盟関係に高め得る点にこそ、集団的自衛権行使容認の真価があります。

 メドカーフのような、豪州の戦略家は、インド・太平洋という概念を好んで使います。これは、日本にとっても、航海の自由、シーレーン防衛における日米豪印協力の重要性を再認識させてくれる、有用な視点と言えるでしょう。

 結びでは、対中関係について、豪州は、中国の率直な友人にはなれないかもしれないが、日本とはそうなることが出来る、と明言し、労働党政権時代の親中政策を批判し、代わって日豪協力に期待しています。これは、豪州の政権が労働党から保守党に代わって、その国際政治の戦略の方向を、明らかに、中国から日本に向けて転換したことに対する肯定的評価です

 安倍総理の豪州訪問は、完全な成功だったと言えます。ただ、残念なのは、日本においては、大型台風の接近にTVのニュースが多くの時間を割かざるを得なかった事情があるにせよ、マスコミからほとんど無視されたことです。国の総理が、赫赫たる外交的成果を挙げていることを報道しない日本のマスコミの姿勢には疑問を抱かざるを得ません。

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