2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年1月24日

 2013年12月11日付の豪州戦略政策研究所(ASPI)のサイトで、Andrew Davies同研究所上席分析官が、日米豪印の4カ国の安全保障の枠組みは、価値を共有する民主主義国の協力として、それなりの意義がある、と論じています。

 すなわち、2013年12月、キャンベラでは、「4カ国プラス」の国際会議が開催された。参加国は、2007年来の「4カ国安全保障対話」のパートナーである日米豪印であり、「プラス」としてフィリピンとインドネシアから学者が参加した。

 会議の目的は、4カ国の集団安全保障メカニズムの再活性化の利益を探究することにあった。「再活性化」と言ったのは、2007年に、ハワード豪首相も参加して初めて4カ国の公式会談が行なわれたからだ。が、その後、ラッド政権が誕生し、豪州は4カ国会談から退いた。

 そして今日、新たな機会が訪れた。日本の安倍総理は、4カ国の「安全保障のダイアモンド」を唱え、自由民主主義の価値を外交戦略にしている。第1次安倍内閣でも、安倍は、「4カ国協議」の強い支持者であった。そして、豪州でも、「4カ国協議」への支持がある。2010年、当時の野党党首トニー・アボットは、一方的に「4カ国」から退いた政府を批判した。ハワード元首相が「4カ国」に積極的だったことを思えば、当然のことかもしれない。

 「4カ国」は、自由民主主義という共通の価値を基礎にしている。同じ考え方をする者同士が、重要な課題を協議することには多くの意義がある。しかし、実際の開催には、主に3つの問題がある。

 1つ目は、参加国の問題である。民主主義政治体制を有している国と言う点では、中国は入らない。中国をヘッジするという意味合いなしに、「4カ国」の真の活性化は有り得ない。中国との関係が難しくなることも考えられるが、そのコストよりも、「4カ国」が形成する地域情勢や公共財の利益の方が大きければ良いだろう。

 2つ目の問題は、1番目とは逆に、誰が排除されるかではなく、誰を入れるかの問題である。「プラス」の参加国として、米国の同盟国で民主主義の韓国の役割はどうなるのか。ニュージーランドは、強固な民主主義国で、4カ国とも価値を共有するが、安全保障では独自の立場を取っている。例えば、中国のADIZ(防空識別圏)設定を批判した日米豪とは、距離を置いた。

 3つ目の問題は、4カ国は、法の支配、人権及び民主主義を基礎とする世界秩序を支えるという共通利益を有するが、同時に、各国は、独自の国家利益も持っているということだ。


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