世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年1月24日

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 しかし、安全保障関係というのは、利益を得るにはコストがかかるものである。「4カ国」になると、範囲は、北東アジアに限らず、中印国境にも及ぶ広い範囲の不安定要因を抱えることになるし、「プラス」国によっては、その範囲は更に広がる可能性がある。

 価値というのは、外交政策及び安全保障戦略を策定する際の1つの指標になる。価値を共有する国々との協力は、コミュニケーションもしやすいし、それぞれの利益も似ているので、やり易い。インド・太平洋という広い安全保障の構築において、価値を基礎におく枠組みが建設的であるかどうかには議論があるが、「4カ国」は、多くの分野で、自然のパートナーである、と述べています。

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 筆者のAndrew Daviesは、防衛産業、潜水艦、戦闘機を含む豪州の防衛能力に関する専門家であり、2006年からASPIに所属しています。それより前、12年間、国防省において軍事力の分析及び情報に携わった経歴がある人です。

 この論文は、2007年に初めて公式に行なわれた日米豪印間の会議の意義を強調し、更に2013年末に開催された4カ国にインドネシア、フィリピンを加えたセカンド・トラック会議があったことに言及しています。

 中国の軍事力強大化が主要な問題を提起している東アジアの軍事バランスにおいては、日米豪印の協力と、それにインドネシア及びフィリピンを加えた協力は、極めて自然な正攻法の反応です。

 ただ、時の政権が、平和主義的姿勢を強調する場合は、敢えて軍事バランスに触れない傾向はありますが、その結果情勢の本質が見失われる恐れがあります。また、どの国が対象国であるかは、名指しでは言わないのが普通ですが、名指しはしなくても、国際政治の本質は常に意識している必要があります

 この軍事バランス上の必要性をはっきりと指摘するのが保守主義の役目であり、アボット政権はその役目を担う意思があるようです。それは日本の保守政権としても歓迎し、協力するところでしょう。  

 アボット政権、安倍政権の誕生により、アジアの大戦略の輪郭が見えて来た感があります。

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