さらに、地元のメディアで騒がれているのは中国系の「ゼロバーツ工場」への批判だ。タイの自動車部品製造業協会のソンポン会長は、「(本来完成車の価格の40%を東南アジア諸国連合≪ASEAN≫を含む現地から調達しなければならないが)中国メーカーはほとんどの部材を中国から輸入しており、実質的な調達率は10%以下」と指摘している。
筆者は今年4月20日に中華系の奇瑞汽車(Chery)の工場の開所式を訪問した際に、工場の片隅に並べられた塗装済みのボディーが目にとまった。説明員に聞くと、塗装済みの状態でボディーは中国から輸入しているとのことであった。
つまり、部品もボディーも中国から輸入し、現地では最低限の組み立てしかしていない。日系はサプライチェーンに投資し、80%以上の現地調達率を達成しているにもかかわらず、中華系より高い乗用車の物品税を払わされている。日系は不公平な扱いを受けていると言わざるを得ない。
インドネシア財務相の発言と
タイへの波紋
タイに次ぐ自動車生産国であるインドネシアは、苦境にあるタイの日系メーカーの誘致を強めている。プルバヤ・ユディ・サデワ財務相は8月初めの自動車工業協会(GAIKINDO)国際オートショー(GIIAS)のイベントで、「トヨタがタイからインドネシアに生産拠点を移すのであれば、どのようなインセンティブでも用意して支援する」と発言した。
インドネシアがタイをあからさまにライバル視しているのは、2億8000万人とASEAN最大の人口を抱える地域大国であるにもかかわらず、日系自動車メーカーがタイを生産拠点として選んでいるからである。昨年のインドネシアの自動車販売は80万4000台に達し、タイを上回る。
ブランド別販売では、インドネシアでは日系が90%以上のシェアを有していたが、26年1~7月には77.9%まで低下。その代わり、タイと同様に政府のEV奨励策によって中華系は17.5%まで伸びている。
ジャカルタの主要なモーターショーは、今年2月に開催されたインドネシア国際モーターショー(IIMS)と、GAIKINDOが開催するGIIASである。今回印象的だったのは、日系各社が展示に非常に力を入れており、集客力も高く、プレゼンスを維持できていたことだ。
