日系メーカーが特に前面に打ち出していたのは、ハイブリッド車(HEV)を中心とする「xEV」である。なかでもトヨタは、会場に到着する前からHEVをアピールする仕掛けを展開していた。展示場の駐車スペースが限られているため、多くの来場者は近隣のイオンに車を止め、シャトルバスで会場へ向かう。トヨタはこの動線に着目し、イオンにHEVオーナー専用駐車場を設置。さらに、そこから会場まで、昨年11月に発売した7人乗りHEV「ヴェロズ・ハイブリッド EV」に試乗できる〝おもてなし〟を提供していた。
また、トヨタは今年8月には、定期的にディーラーで点検を受ければ、通常の保証に比べて2年/4万キロ・メートルを追加的に保証する合計6年/16万キロ・メートル保証の「T-Care Extra」を発表した。HEVの商品力に加え、販売からアフターサービスまでを含めたバリューチェーンを強化することで、他社との差別化と既存顧客の囲い込みを図る狙いである。
インドネシアでみた
日系メーカーの四つの反撃策
GIIASで筆者が強く感じたのは、日系にはまだインドネシア市場で反撃の余地があることである。その方向性として、四つのポイントが挙げられる。
一つ目は、日系が強い製品力をもつセグメントに徹底的にリソースを投入し、ラインナップや商品力を強化することである。例えば、「トヨタ・ヴェロズ」、「三菱Xpander」など人気の高い3列シート・7人乗りのMPVセグメントでは、中華系はまだ本格的に参入しておらず、日系はシェアがあまり下がっていない。MPVはファミリーカーであり、家族で長く使う傾向があり、ユーザーは耐久性と品質の高い日系ブランドを選好する傾向が強い。
二つ目は、ハイブリッドを中心とするテクノロジーをブランディングし、その優位性をアピールする戦略であり、イオンのハイブリッド専用駐車場にみられるように、特定のユーザーに絞った「おもてなし」も顧客の心をつかむ上で重要だ。
三つ目は、トヨタの新しい保証「T-Care Extra」のようなバリューチェーンビジネスの強化である。
四つ目は、国への貢献をはっきりとアピールすることである。トヨタは今年2月に開催されたIIASからGIIASまでトヨタ・アストラ・モーター設立55周年を記念して「Toyota Ada Untuk Indonesia」(Toyota for Indonesia)」のキャンペーンを展開しており、具体的にはトヨタのハイブリッドモデルが現地生産のバッテリーなど現地部品を使って製造されていることを強調している。
これら四つの方向性は、高い品質、強固なサプライチェーン、信頼性の高いアフターサービスなどの「日系の優位性」をさらに強化しようとする取り組みと言えよう。
日系の次の打ち手として、中華系のコックピット周りなどの先進的なデザインやスマートフォンによる操作性の高さなど、「中華系の差別化要因」に直接対抗する「同質化戦略」を展開することも重要になるだろう。
