2026年9月25日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年9月25日

 さらにはイラン戦争で米軍はその能力を浪費する一方、中東に能力を張り付けざるを得ない状況に置かれている。理屈は分かるが説得性に乏しいということではないかと思われる。

物議を醸した質問書

 トランプ政権が欧州のNATO加盟国に送った質問書は物議を醸した様子である。Bloomburgの報道によれば、米国の外交政策を公に支持しているか? との質問には、中東と西半球における「イニシアティブ」を支持しているかとの問いも含まれる。

 欧州の基地・空域の米軍による使用制限の問題との関連では、「そのような制限を縮小あるいは廃止する用意はあるか」との問いも含まれる。さらには、防衛装備品を米国企業から調達しているかを問い、「made in Europe」政策(注:EUの再軍備計画SAFEが念頭にあるのかもしれない)に反対したかを問う質問もある。

 質問書はNATO3.0に関するものだとコルビーは言うが、NATOに関係のない質問も含まれている。質問書は、トランプ政権に対する「忠誠」をテストする踏み絵であるとの印象を免れない。欧州が不快がるのは当然である。NATOは大西洋両岸の間のその時々の政治的・経済的問題を超越して維持されて来たが、質問はNATOの基礎を覆す種類のものである。

 最近、ウクライナに対する主要な兵器供給国となった欧州諸国を標的とするロシアによるとみられる破壊工作が相次いで発生している。エストニアのドローン工場、ブルガリアの砲弾工場、イタリアの弾薬工場に対する破壊工作、あるいはライプツィヒの空港でのウクライナの貨物機に対するドローン攻撃などである。

 さらなるエスカレーションの危険が指摘されているが、ワシントン・ポスト紙コラムニストのデビッド・イグネイシャスは「アメリカの不在が、欧州が最も恐れる戦争を招く」という9月3日付けの論説の中で、部隊を引き上げることを議論する時期ではないとして、ペンタゴンが在欧米軍の態勢見直しをただちに中断することを求めている。至極もっともな意見だと思われる。

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