2026年9月28日(月)

Wedge OPINION

2026年9月28日

FOIPの再構成へ
日本が克服すべき課題

 日本が提示すべき地域秩序の核心は、各国の自律性を支える開放的かつ多層的な構造にある。ここでいう自律性とは、複数の対外関係を維持し、状況に応じてその組み合わせを選び直せる能力を指す。

 代替的な供給源、資金、技術、貿易ルール、安全保障協力へのアクセスが確保されれば、各国は危機時にも複数の対応手段を持ち、平時の交渉力を高めながら、大国との非対称な関係を管理しやすくなる。日本が独自の外交的判断を示しながら地域に提供すべきなのは、この「選択肢の厚み」である。

 課題は三つある。第一に、供給網の複線化を地域公共財として整備する。エネルギー、重要鉱物、医薬品、通信網について、備蓄、代替調達、相互融通、金融・技術協力を組み合わせ、政府資金を呼び水として、長期的な事業採算性と危機時の公共性を両立させる。供給網の複線化は、企業の事業継続性を高め、新たな市場を開く投資にもなる。

 第二に、日本が環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)を妥結へ導いた経験を生かし、電子商取引、経済的威圧、供給網の透明性をめぐる規律を更新する。制度の継続性と予見可能性を維持し、米国が将来復帰し得る余地も残す。

 第三に、海洋状況把握、海上法執行、安全保障能力支援、サイバー協力を、装備、訓練、人材、情報共有まで一体的に展開し、威圧に直面した国の孤立を防いで、主権に基づく判断を支える。

 三つの課題を貫く原則は、「地域との共同設計」である。ASEANやアフリカ諸国が脆弱性と政策の優先順位を構想段階から共有し、協力の設計と実施に主体的に関与することで、FOIPの包摂性は実質を伴う。日米同盟、ASEAN、クアッド、CPTPP、二国間協力を目的に応じて接続し、特定の枠組みが停滞しても他の枠組みが機能を補完する構造を整える。こうした機能的な多層性は秩序全体の耐久性を高めるとともに、日本がアジア固有の利益を起点として秩序を構想する主体であるとの信頼につながる。

 国内では、関係省庁に分散する事業をFOIP実施戦略の下で統合し、依存先の集中度、代替経路、危機時の復旧時間、海洋監視の範囲などを指標として、政策資源の配分と成果検証を結びつける必要がある。共通基準は、地域の自律性と強靱性への寄与である。日本の産業基盤と技術力の強化も、地域に提供できる選択肢を広げる前提となる。

 地域固有の利益を起点にFOIPを再構成し、その実現を日米協力と多国間制度に組み込むことが、提唱から10年を経た日本外交に求められる秩序形成の役割である。

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大膨張する日本の借金 「国民総ゆでガエル」から脱却を
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日本の借金が大膨張を続けている。債務残高対GDP比は200%を超え、世界最悪の水準にある。こうした中で、「消費減税」が打ち出されたが、この選択の先に待ち受けているものは何か。もちろん、本当に必要な支出もあり、「借金=すべて悪」とは言い切れない面もある。しかし、あまりにも身の丈を超えすぎていないか。将来世代に過大な負担をかけないためにも、適切な給付と負担は不可避であり、それこそ民主主義の基本だ。財政再建に向けて、打開策はゼロではない。現実を直視し、今こそ、新たな一歩を踏み出さなければならない。


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