2022年10月6日(木)

Wedge SPECIAL REPORT

2022年4月22日

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神保 謙 (じんぼ・けん)

慶應義塾大学総合政策学部准教授

キヤノングローバル戦略研究所主任研究員。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程修了。南洋工科大学ラジャラトナム国際研究院客員研究員などを歴任。

 「Wedge」2022年5月号に掲載され、好評を博している特集「プーチンによる戦争に世界は決して屈しない」記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
米潜水艦から試験目的で発射される弾道ミサイル「トライデントII」。「核の傘」の一端を担っている (DVIDS)

 ロシア・ウクライナ戦争から学ぶべき安全保障の教訓は多岐にわたる。その中でもロシアがウクライナ侵攻の早期段階から核兵器の使用を威嚇、米国や北大西洋条約機構(NATO)の直接的軍事介入を牽制したことは注目に値する。ロシアは古典的ともいえる地上戦をウクライナ領内で展開しながら、NATOとの直接的な軍事衝突は核戦争に発展することを繰り返し表明し、ロシア戦略ロケット軍を「戦闘態勢」に移行させて公然たる核威嚇を行った。

 米国やNATO諸国が「第三次世界大戦を避ける」としてウクライナに対する直接的な軍事介入を回避する姿勢を強調したのも、ロシアの核威嚇が背景にあることは論を俟たない。

 ロシアはかねて自らの核戦略は厳格な防御的性格を持つと表明してきたが、近年では少数の核兵器を示威的に使用して、核戦争へのエスカレーション(規模拡大)への決意を示し、進行中の戦闘停止を敵に強要し、未参戦国の参戦を阻止する「エスカレーション抑止」の有効性を唱えている。今回、ロシアにより核兵器を用いる威嚇が多用されていることは、こうしたエスカレーション抑止の実践といえる。

 核保有国である中国、そして核・ミサイル開発に邁進する北朝鮮が、今回の戦争における核兵器の役割を積極的に評価していることは確実だ。核攻撃に対する報復能力(第二撃能力)の確保のみならず、紛争規模に応じた戦争遂行のための核兵器使用の有効性に着目し、大小規模の核兵器、多様な運搬手段、柔軟な核運用ドクトリン導入の方向性がすでに示されてきた。

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