こうした動向は核兵器使用の敷居を下げ、通常戦力による戦争の各段階と背中合わせの関係として位置付けられることを意味している。中国や北朝鮮は核戦力を、有事における米軍の介入を阻止する手段としてのみならず、日米同盟や米韓同盟を切り離す目的としても用いるだろう。すなわち「東京を守るためにワシントンを犠牲にするのか」と米国の核の傘の有効性を牽制し、「米国を支援すれば日本は核戦争を覚悟すべき」として日本の対米支援を分断することである。
高まる「核共有」議論の根底にあるのは?
こうした動向を反映してか、日本国内では安倍晋三元首相の問題提起を契機として、NATOにおける「核シェアリング(共有)」を、日米同盟において導入する議論が高まっている。その意図する内容は論者によってさまざまであるが、根底にある問題意識は……
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ロシアのウクライナ侵攻は長期戦の様相を呈し始め、ロシア軍による市民の虐殺も明らかになった。日本を含めた世界はロシアとの対峙を覚悟し、経済制裁をいっそう強めつつある。
もはや「戦前」には戻れない。安全保障、エネルギー、経済……不可逆の変化と向き合わねばならない。これ以上、戦火を広げないために、世界は、そして日本は何をすべきなのか。