2026年10月1日(木)

プーチンのロシア

2026年10月1日

「この困難な時に、ロシアはあなた方(イラン)に対し必要な支援を提供する。具体的な内容についても話し合いを進めている」

 ロシアのプーチン大統領は9月1日にキルギスの首都ビシュケクで開催された上海協力機構の首脳会議で、険しい表情を浮かべながら、イランのペゼシュキアン大統領にそう強調した。プーチン氏は「われわれはイラン国民とともにある。ロシアはあなたがたの勇気と忍耐を尊敬する」とも語った。

 2月に始まった米国・イスラエルとイランの衝突で、ロシアはイランに対しドローンの部品や弾薬を供給していると報じられているほか、戦争開始直後の3月、中東地域の米軍基地への攻撃に有用な衛星データをイラン側に供与していたと米メディアは報じた。事実だとすれば、ロシアは戦争開始直後から、イランに対して緊密な協力を提供していたことになる。

 トランプ政権は9月14日には、イランへの制裁逃れを支援してきたとしてロシア大手銀行のVTB銀行に制裁を科すなど、イランに対する「経済追放作戦」の流れをロシアにも適用する姿勢を示した。ただロシアは17日には対イラン制裁の履行状況を監視する国連の専門家パネルの任期延長案に対し、中国と共同で拒否権を行使するなど、イランとの連携を崩す姿勢はそぶりも見せていない。

実利で結ばれたイラン・ロシア

 ロシアと中東の大国、イランは決して“同盟関係”にはない。現在は反米というスタンスで歩調が合っているが、2010年には国連安全保障理事会がイランのウラン濃縮活動などを理由に追加制裁決議を採択したことを受けて、当時のメドベージェフ大統領がイランに対して契約を締結したはずのS-300対空ミサイルの輸出を突然凍結する大統領令を発令してイラン側を激怒させた。

 背景にはメドベージェフ政権下で、ロシアが欧米との協調路線に舵を切ったことがある。ロシアはその後も国連の場で、イランに対し厳しい姿勢を取り続けた。

 そのような潮目が大きく変わったのが、再び大統領の座に戻ったプーチン氏が14年に強行したウクライナ南部クリミア半島の併合だ。ロシアが国際的な孤立を深める中、イランが核開発計画を抑制・縮小する行動計画に同意したことを受け、プーチン氏はすぐさまイランに対する武器販売輸出禁止措置を解除し、S-300の部品出荷を再開。16年末までには引き渡しを完了した。

 平行して、イランとロシアをさらに接近させる事態が発生していた。シリア内戦だ。イランは緊密な関係を持つシリアのアサド政権が崩壊の危機に陥る中、ロシアに接近。15年1月、イランの最高指導者ハメネイ師の外交政策顧問がロシアを訪問し、プーチン大統領、ショイグ国防相と会談するなど働きかけを本格化させた。

シリア情勢をめぐっては、プーチン大統領もイランを訪問し、ハメネイ師と会談していた(Abaca/アフロ)

 その後、ショイグ氏はロシア国防相として15年ぶりにテヘランを公式訪問してイラン軍高官らと会談。シリア情勢をめぐり、イラン・ロシアが協力する体制が整えられていった。


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