2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年8月26日

 米越両国は中国との生産的関係を求めるが、同時に中国の強い自己主張に対して、自衛能力が重要であることを理解している。今こそ、米国がベトナムの自助努力を支援するときである、と述べています。

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 上記は、南シナ海における中国の強硬姿勢に敢然と立ち向かっているベトナムに対し、米国は現在の対越武器売却禁止を解き、ベトナムの対中抑止力の強化、自助努力の支援をすべきである、と述べている論説です。東、南シナ海における中国の強硬策に対抗するための策です。

 論説は、対越武器売却の解禁をベトナムにおける人権状況の改善と結び付けるべきであると言っています。米国の原理原則から言えば当然の主張でしょうが、ベトナムに大幅な人権状況の改善を早急に求めるのは困難で、この条件を厳しく求めれば、対越武器売却の解禁が進まなくなる恐れがあります。米国はベトナム支援の戦略的重要性にかんがみ、あまり人権問題にこだわるべきではないでしょう。

 サウジアラビアは、女性の社会的地位が差別されているなど、人権の観点からは問題山積ですが、米国はそれに目をつぶって、サウジアラビアの戦略的重要性を優先させ、最新兵器を提供するなど、安全保障面の協力を推進してきました。米国はベトナム支援策の推進に当たり、同様の考慮を払うことが望ましいでしょう。

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