世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年1月30日

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 米国は、エジプト政府の安定、ベンガジ政府の支援、レバノンのヒズボラの政治的封じ込め、シリアの反政府グループ支援、ヨルダン政府への財政支援、中東地域でのテロ対策で、サウジの支援を当てにしている。上記の諸措置を取らないと、サウジの不安を高めることになり、米・サウジ関係を損ねることになりかねない、と述べています。

出典:Andrew J. Bowen‘Dual Engagement: The Saudi Factor in an Iran Rapprochement’(National Interest, December 24, 2014)
http://nationalinterest.org/feature/dual-engagement-the-saudi-factor-iran-rapprochement-11917?page=show

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 上記は、米国が中東の安定を図るためには、サウジとイランの両国に対する関与を深める必要があると言っている論説です。その通りでしょう。そのためには、悪化したサウジとの関係をいかに修復するかが課題ですが、関係悪化の一つの原因は、イランとの核交渉であり、サウジは、米国がサウジとの関係よりもイランとの関係改善を重視しているのではないかと疑っています。米国はそうでないことを具体的に示す必要があります。例えば、GCCの共同軍事司令の創設への支援はその良い例でしょう。サウジはその安全保障を米国に頼っており、米国はサウジに対する安全保障のコミットメントを明らかにする必要があります。

 米国は、核交渉の開始でイランへの関与を強めたとされていますが、核交渉の行方は定かではありません。もし交渉がまとまれば、米国のイランへの関与は著しく強化されるでしょうが、もし決裂するようなことがあれば、米イラン関係は対決へと逆戻りするばかりか、交渉開始以前より悪化する恐れがあります。米国のイランへの関与は、極めて不確かなものです。

 もし核交渉がまとまれば、イランがどのような対外政策を推進するかが、その後の中東情勢を大きく左右します。イランのロウハニ大統領は、繰り返し、イランは国際社会に復帰したいと言っています。もしイランが、ハマスやヒズボラ支援という、いわば中東の反体制的路線を転換すれば、中東の平和と安定に大きく貢献することになります。その場合でも、イランとサウジとの覇権争いは続くでしょうが、両国が協力する余地が生まれてきます。そうなれば、米国のサウジとイラン両国との同時関与はやりやすくなり、米国の歓迎するところとなるでしょう。

  
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