2024年11月16日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年1月30日

 米ライス大学の中東研究家アンドゥルー・ボーウェンが、米国は中東の安定のため、そして中東における米国の国益増進のため、サウジとイランの両国との関与を深めるべきである、と2014年12月24日付のナショナル・インタレスト誌で述べています。

 すなわち、サウジは、米国がエジプトのムスリム同胞団を支持し、シリアの反政府グループを支援しなかったことに憤った。さらに、オバマ大統領がイランと核交渉を始め、ISISに対抗するためにイランがイラクやシリアにおいて役割を増大するのを黙認したため、米サウジ関係は悪化した。

 米国は、サウジとの関係を修復し、サウジとイランの両国に対し同時に関与するため、以下の点を推進すべきである。

1. イランへの関与と同時にサウジとも関与し、サウジに長期の安全保障上の約束をすべきである。そうすれば湾岸と、より広く中東の安全と安定に関する対話を始める事が出来る。

2. イラン核交渉へのサウジの参加を慫慂する。サウジは断るかもしれないが、招待すること自体、交渉に懐疑的で不信感を持っている湾岸諸国との間の信頼醸成措置となり、交渉の最終段階で湾岸諸国の安全保障上の懸念を取り上げることを可能にする。

3. GCC(湾岸協力会議:Gulf Cooperation Council)の共同軍事司令の創設を支援するため、英国と協力し、兵站、訓練、助言で援助する。また、イラン核交渉が不調に終わった場合、湾岸諸国に核の傘の提供を申し出ることも一案である。

4. イラン核交渉が成功した場合、早急に、中東の安全と安定のためのより幅広い対話を開始すべきである。米国は、EUやロシアと協調して、イランが地域での共通課題に協力すれば、二国間関係を格上げし、経済支援や投資を強化すると述べ、イランにインセンティブを与えことが出来る。


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