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2015年8月4日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

町の職員は営業マン

 長く続けてきたかいがあって、写真の町としての東川の知名度は上がっている。特に写真家の間ではまず知らない人はいない。というのも30年にわたって「写真の町東川賞」という写真の賞を出し続けているからだ。もちろん、自治体が写真作家賞を制定したのは全国で初めてのことだった。

東川役場

 しかも自薦式ではなく、町が依頼したノミネーターが推薦した作品を審査して決めている。国内作家賞だけでなく、海外作家賞も出し、海外の優れた作家を日本に紹介する役割を果たしてきた。そうした積み重ねによって写真家の間で一目置かれる賞へと育ってきたのである。受賞作品はパネルにして文化ギャラリー前の街路灯に掲げられている。

実行委員の高島さん(右)と藤原さん(左)

 新人作家賞、特別作家賞なども含む東川賞受賞者は、毎年夏の「写真の町国際写真フェスティバル」で表彰されている。写真甲子園も行われるこの期間は、全国各地から写真ファンが集まってくる。400メートルにわたって歩行者天国を設けて「どんとこい祭り」も同時に開催、帰省シーズンとも重なるため、多くの人たちで町は賑わう。推計で3万8000人が集まるが、そのうち5000人くらいが写真目当ての人たちだろうと町では推測する。

街路灯に掲げられる受賞作

 「町長以下、町の職員はみんな営業マン。本当にアイデアマンだと思います」

 実行委員会でやはり副委員長を務める町内在住の藤原隆子さんはいう。町を売り出すために次から次へと新しい施策を打ち出す松岡市郎町長は、自治体の首長の間でもアイデアマンとして知られる。それが職員全体に行きわたっているというのだ。

 吉里さんも職員になって驚きの連続だったという。「予算がない、前例がない、他の町ではやってない、ことを実行に移せと言われます。二番煎じでは許されません」と笑う。

 東川町の「写真の町宣言」はこんな文章で始まる。

 「自然と人、人と文化、人と人、それぞれの出会いの中に感動が生まれます」

 そんな感動が、多くの人たちを東川町に引き付けている。

(写真・生津勝隆)

  
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