2024年12月20日(金)

イノベーションの風を読む

2016年5月13日

次はモノがしゃべりだす

 今年になって、FacebookとLINEが関連するプロダクトを発表したことによって、にわかにチャットボットが注目され始めたが、すでに中国のWeChatやカナダのKikというメッセンジャーアプリでは、情報の検索やショッピング、タクシーの呼び出し、レストランや航空券の予約などといった多くのチャットボットが動いている。

 現時点ではこのようなサービスでの応用が中心だ。しかし、モノのインターネット(IoT)によってモノがインターネットにつながると、ヒトとモノがメッセンジャーアプリの上で会話することも可能になる。

モノがしゃべるようになる

 米テスラ・モーターズ社の電気自動車は、スマートフォンのアプリを使って、離れた場所から充電状況や航続可能な距離を確認したり、空調のコントロールをしたりすることができる。車のソフトウェアは定期的にインターネット経由で更新されて新しい機能が追加されていくが、そのたびにスマートフォンのアプリも更新しなければならない。しかしチャットボットであれば、(例えば)自分の車から「ルーフの開閉の指示ができるようになりました」というメッセージが届く。ユーザーは「ルーフを開けておいて」とメッセージを送るだけですぐに新しい機能を利用できる。

 グーグルやマイクロソフトもチャットボットへの積極的な取り組みを始めているが、アップルだけはチャットボットに関連した動きを見せていない。チャットボットと、モノとヒトがつながるIoTによって、スマートフォンを中心とした経済圏のパラダイムが大きく変わるかもしれない。それは、高い技術力を持ちながら一般消費者向けの最終製品ではなく、その部品を供給するという立場に甘んじてきた日本の製造業にとっても復活のチャンスになるはずだ。

  
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