金融万事 塞翁が馬

2016年6月10日

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IT技術の進展もAML/CFTの強化を加速

 金融取引・決済ネットワークがグローバルにオンライン化されると共に、仮想通貨や不動産等、より幅広い価値交換の手段も同じオンライン化の道をたどっている。オークションや個人売買市場サイト、仮想通貨交換所、クラウドファンディング、SNS・ゲームサイト等々、様々な経路の資金洗浄・テロ資金供与が(成功するか否かは別にして)インターネットによって可能になった。”Follow the Money” と言われても、その形態も経路も多様化している。

 ただし、この点については、幸い捜査当局、金融機関、そして事業法人にとっても同じ事が言える。IT技術の進展は犯罪捜査の強化にも大きく貢献している。

 AML/CFT捜査の詳細はあえて避けるが、昨年12月に起きた米国カルフォルニア州・サンバーナディノでの銃乱射事件(14名死亡・17名負傷)では、サンバーナディノ署の分析官は犯罪捜査分析システム「CLEAR®」を利用し、様々なデータベースの分析から容疑者やその住所の特定に導いた。

 コンピュータの処理能力が画期的に向上し、インターネット上を含む様々なデータベースを瞬時に結びつけて、関係を発見する事が可能になった。トムソン・ロイターでは司法・行政・金融機関・事業法人それぞれをユーザーとし、PEPsやデューデリジェンス等様々なデータベースや分析ツールの提供もグローバルに行っているが、このAML/CFT分野への関心は過去最高ともいえる。

 日本でもIT技術を活用した管理は広まりつつあり、むしろ、金融機関や事業法人はAML/CFTを含むコンプライアンス全般をフロントビジネス(収益対象事業)にある程度合わせたリスク・ベース・アプローチに進化し始めているように見える。御社は潮流を理解し、対応しきれているだろうか?

注1 米国・メリーランド州の非営利団体 TRACE International統計
注2 Basel Institute of Governance

おことわり:本コラムの内容はすべて執筆者の個人的な見解であり、トムソン・ロイターの公式見解を示すものではありません。
 

  
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