2024年11月23日(土)

佐藤忠男の映画人国記

2010年1月2日

鶴田浩二主演「顔役」(1965年)。東映ビデオから発売中(レンタル中)。5250円。

 浜松市出身の大スターには鶴田浩二(1924〜1987年)がいる。若い頃は不良っぽくニヤけたところが戦後的だと人気が出たものだったが、晩年の任侠映画やテレビドラマの名作「男たちの旅路」シリーズなどでは胆のすわった剛直な男を渋く演じて、男の中の男、みたいになった。

 富士宮市の出身に里見浩太朗がいる。時代劇映画の黄金期が過ぎたあとに、テレビに舞台に正統派大衆時代劇を支えてきた。そして時代劇スターならではの大きな風格に達している。

 同じく富士宮市出身の秋吉久美子は,全共闘時代の興奮が一気にさめた1970年代はじめに、当時の若者たちの一種気だるい気分を鮮やかに体現しているような女優として注目された。当時の作品に「赤ちょうちん」(1974年)や「昭和枯れすすき」(1975年)がある。

 古い人では下田町(現下田市)出身の浦辺粂子(1902〜1989年)。まだ女の役を女形が演じるのがふつうだった大正半ばに早くも映画女優を志し、やっと女性が女役を演じるようになったばかりの1922年に映画女優としてデビューした。日本映画の芸術的作品としては,最も初期の名作の1つである村田実監督の1924年の反戦映画「清作の妻」に主演しているのだから大先輩である。長く地味な脇役が多かったが,戦後に成瀬巳喜男の「稲妻」(1952年)で、無知で庶民的な母親のべたべたした愛情を表現してこれを不朽の傑作にした。

 三島市出身の冨士真奈美、島田市出身の岸本加世子など,日常生活の機微を巧みに演じる明るくて陽性の女優が静岡には多いように思うのだが、どうだろう。

 市毛良枝は現伊豆市、もと修善寺町の出身で、デビューの頃にはお嫁にしたい女優のナンバーワンと言われたこともある。最近作には「ゼロの焦点」がある。長澤まさみは磐田市出身。大ヒット作の「世界の中心で愛を叫ぶ」(2004年)で一躍注目された。

 


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