2024年5月16日(木)

佐藤悦子 バランス・マネジメント

2010年2月16日

 私が心がけているのは、「あれ?」と気づいたことがあるときや、「うーん」と疑問を感じた時にも、とにかく口にすることです。そうしていると、大ごとになる前に、次の解決の道が見えてくるからです。

 それは夫婦でもある佐藤と私の関係であっても同じです。「夫婦だから言わないでもわかる」というのは大きな誤解で、思ったことは口にして言わなければ他人には伝わらないのです。親子や兄弟、姉妹でさえ、何も言わないでわかりあうということはとても難しいものです。ましてや、これまで何十年と別の人生を歩んできた他人同士なのですから、最初からわかりあっている状態なんて無理だと思っています。だからこそどんなに些細なことでも伝えあって普段から風通しのよい関係を築いておくのが大切だと考えているのです。また感情的な問題に直面したとき、結果どうにもならないことであったとしても、一人で抱え込んでもんもんとしているよりも、パッと口に出して共有しあうことによって、気持ちがふっと軽くなって「がんばるしかないな」と割り切れて、ふたたび前に進みやすくなることもあります。

できないことは「できない」と伝える

 あるとき私が佐藤に向かって「もう、調整する案件が山のようにありすぎてスケジュールのやりくりができないー!」と若干愚痴をこぼしたことがありました。すると彼が「えっちゃんができないなら、俺はもっとできないよー」とちょっとおどけて返してくれました。それを聞いて「ああ、そうだった……」と気持ちを入れなおし頭を切り替えて、落ち着いて取り組むことができるようになりました。

 もしかすると「できない」と口にすることが憚られると思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、一人でずっと悩んでいると、次第に「なんで私ばっかり、こんなに大変なの」と被害者意識が出てしまって、それをそのまま累積させていくと、相手と衝突する呼び水にならないとも限りません。

 それを思えば、「できない」ことは早いうちに「できない」ということもまた、快適なコミュニケーションや心地よい職場環境を維持するうえで重要ではないかと、私は思うのです。

 来週からは、サムライの話からは少し離れるかもしれませんが……、初回にお話ししたように「プロジェクトのスタッフ全員がハッピーであるには、まず自分自身がハッピーで」ということに関して、プライベートもふくめた色々なことについてお話しさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。


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