2022年10月6日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年10月12日

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 中国マネーと中国系住民を媒介とした中国の影響力が豪州で大きな問題となっているようです。こうした論説は好ましいことでしょう。中国に経済的に大きく依存する豪州には、中国にどう対応すべきなのかについて迷いがあるのかも知れません。毅然とした対応を期待したいと思います。

政党に献金する中国系団体

 この論説が出た直後、労働党の上院議員サム・ダスティアリが旅費と弁護費用、数千ドルを中国系団体(Top Education Instituteというシドニーの団体)と企業(不動産開発のYuhu Group)につけ回ししていたスキャンダルが発覚して、9月7日、党の幹部ポストを辞任しました。この6月、彼は「南シナ海は中国の問題である、この問題について豪州は中立であるべきで中国の決定を尊重すべきである」と労働党の方針にも背馳する発言をしていた由です。これは問題の一角に過ぎません。Top Education Instituteは自由党、労働党の双方に献金しているといわれます。異例なことに駐豪米国大使は「豪州の政治にここまで中国政府が関与していることに正直驚いた」と発言し、米国では外国からの献金は違法だとして、豪州が問題を解決するよう希望を表明しました。

 昨年10月、北部準州政府がダーウィン港の商用港湾施設を中国の企業に99年間リースする契約を結び問題視されたことがありましたが、この4月には酪農大手S.Kidman、8月にはAusgridの中国企業による経営権取得に連邦政府が待ったをかけました。中国の投資に安全保障上の観点から慎重に対応しているように見えることは歓迎すべきことです。

 中国マネー以上に厄介なことは中国系住民の忠誠心の問題でしょう。論説が描く状況と同種のことですが、2008年、北京オリンピックの聖火リレーがメルボルンで行われた際、チベット問題に抗議する人々を圧倒するために中国大使館の指令に応じて多数の中国系住民と留学生が五星紅旗を掲げて押しかけました。こういう事態は異様であり、中国人に特有の現象ではないかと思います。不愉快ではありますが、打つ手がないようにも思います。

  
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