2024年11月21日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2010年3月24日

 今年の3月11日、中国四川省成都市にある成都電子科技大学でちょっとした事件が起きた。ことの発端は、この大学に在学中の女子大生と称するものが、学内の掲示板に張った一枚の「恋人募集広告」にある。

もし私と付き合う気があれば・・・

 そこには、女の子の口調で次のような文句が書かれている。

 「私は1年の女子学生です。自分は(女性として)かなりの好条件だと思うんですけど、ずっと彼氏ができなくて困っています。もし私と付き合う気がある人がいれば、3月11日の12時半から50分までの間に、女子学生寮の5号棟の下に来て、私の名前を呼んでくれませんか。私は宿舎の上からこっそり観察させてもらいます。もし自分にふさわしい相手だと思えば、降りていって会いたいと思います」

 そして、この「広告」の指定した3月11日の12時から、大学の女子寮5号棟の下では、信じられないような光景が広がった。数千人もの熱い男たちは集結してきて、「彼女」の名前を連呼しながらその「御成」を待っていた。「彼女」はとうとう姿を現さなかったが、男たちの熱気あふれる写真と動画がネットに公開され、一大ホットトピックともなった。

 後の調査で分かったのだが、成都電子科技大学には該当する女子大生はそもそも在籍しておらず、「女子寮5号棟」にはこういった女性は最初から住んでいなかった。誰かのいたずらか分からないが、とにかく、その数千人の男たちはまんまとダマされたのである。

まんまとダマされた男たちの宿命

 男たちの熱意に感心したり、騙されたことに同情したりする声も多く上がっているが、女子大生と称するものからの「彼氏募集」に数千人の男たちが殺到してきたというこの異様な光景はむしろ、中国の多くの若い男たちの今後の運命を暗示しているようなものである。

 実は、今の時代に生きている中国の若い男たちの中の数千万人は、今後は結婚しようとしても絶対に相手が見つからない、という哀れな宿命にあるのである。

″余剰男″を生み出した「一人っ子政策」の副作用

 2009年11月27日付の中国紙、新京報によると、南開大学(天津市)人口発展研究所の専門家は26日、06年時点で中国の0~26歳の若年層は男が女よりも3402万人多いと述べ、中国の男女比率の不均衡は世界的に突出していると指摘した。

 一般的に出生比率は女100に対し男103~107とされるが、中国では08年のサンプル調査で100対120.56だった。

 若年層の中で、女子より男子の人口数は断然多いというのはれっきとした事実なのである。


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