2024年12月23日(月)

From LA

2017年1月29日

 CESではユニークで将来性のある技術に出会うことも興味を引く点の一つだ。今年のCESでも様々な技術が紹介されたが、中でも異彩を放っていたのがDobot(ドゥーボット)という製品だ。

 中国深センにあるユエジアン・テクノロジー社による発明だが、商品はデスクトップサイズの小型ロボットアーム。「マジシャン」と名付けられ、様々なアタッチメントつけることで1台で「文字を書く」「絵を描く」「レーザー・エンボッシング」「3Dプリンター」など、本来の「物を動かす」以外の様々な機能が実現できる。

 同社では「特に学校の教室で、子供達がロボットについて学ぶ、自分たちでプログラミングを行う、など非常に役立つ教材となる」という。もちろん家庭でも、また零細規模の工場などでも使い道は様々だ。

 しかも価格は米ドルで1台1200ドルを切る。現在市販されている3Dプリンターはオモチャ程度のものを除けば1000-5000ドル程度が主流だから、単に3Dプリンターとして考えても価格としてはリーズナブルだ。また固定状態での3Dプリントは15センチX15センチ程度が最大だが、付属品として販売されるレールを使えば、かなり大きなものも制作できる、という。

 家庭、教育用を目指したマジシャンとは別に、少し大きめの「M1」と名付けられたアームもあり、こちらはスモールビジネス向けだ。ベルトコンベアからの製品ピックアップ、選別、ソルダリングなどの機能も備えている。

 M1は米国での製造販売に先駆けて、マイクロファンディングであるキックスターターで資金集めが行われた。結果は44日間で50万ドル以上が集まる、という反響の大きいものだった。アタッチメントなしのシンプルな本体価格を999ドル、という画期的なものに設定したこともあり、低価格で導入できるロボットアームとしてスモールビジネスからの注目度が高いことがわかる。アタッチメント類をつけた場合でも価格は2000ドル以下に収まる。

 さらにマジシャン、M1ともに重量は1.5キロ、と軽量。コントロールはPCとの接続、ブルートゥース、スマホアプリ、WiFi、音声コマンド、モーションコマンドにも対応している。ユニボディでデザイン性にも優れ、今後米国市場での浸透を目指している、という。

 3Dプリンターはマテル社が299ドルという低価格で子供向きの製品を販売したことで話題になった。同社のウェブサイトから「型紙」をダウンロードし、フィギュアやアクセサリー、その他のオモチャを「子供が自分でプリントアウトする」という教育玩具だ。

 マジシャンはそれを一歩進め、実際の教育の場でロボットアームがどのような働きをするか、どのような可能性があるのを示すことができる製品だ。アプリ開発用のソフトウェアもあり、子供達が自分でデザインしたものを3Dプリントすることができる。米国では小学校からロボティックスの授業を取り入れるなど、STEM(サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、マスマティックスなど理数系の総称)教育に力を入れている。この市場を狙った製品は多いが、本当に米国で市販が始まり性能面でも評価されれば、Dobotはかなりのシェアを占める製品に成長できる可能性がある。

  
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