2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2017年3月14日

 2012年ごろからパソコンよりもスマホやタブレットでニュースを見る割合が格段に増え、スマホで見ることを前提にしたITベンチャー系新興メディアによるニュースアプリが相次いで登場、若者層の支持を得て急成長している。しかし、玉石混淆とも言えるニュースアプリが乱立する中で、ニュースを見る読者の目も肥えてきている。「質」が伴わないとアクセスは稼げなくなることは必定で、いかに他社にない独自性を出すかにかかっている。

(iStock)
 

有名人がコメント

 「経済情報で、世界を変える」という目標を掲げて15年4月にスタートしたソーシャル機能を兼ね備えた、経済ニュースプラットフォームのニューズピックス「NewsPicks」。梅田優祐社長は「現在、会員ユーザー数(有料と無料の合計)は約200万人(昨年12月末)、その中で約3万人が有料課金ユーザー。1、2年後にはこの有料ユーザーを10万人に増やしたい」と強気の見通し。コンテンツについては「広告モデルのニュースサイトである限りは広告を意識せざるを得ないから、ジャーナリズムは成り立たない。広告やPVに左右されない有料コンテンツ(1日10本程度)の配信を重視していきたい」と話す。

 同社は約90以上の国内外の経済メディアなどからの記事の提供を受けると同時に、東洋経済新報社出身の編集長を起用するなど編集スタッフを充実させている。これを生かして「NewsPicks」編集部が独自に取材する旬のトピックスなどの記事も配信、記事に対してその分野に詳しいユーザーがコメントを掲載する。また月曜日の朝に6回続きの話題のテーマや人物についての連載記事の予告を流す。ここまでは無料で読めるが、本編は有料。予告を流すことで有料購読を促す仕掛けだ。本編は昼休み時と帰宅後に読む時間がある9時ごろの時間帯に流す。ソフトバンクの孫正義氏がクローズアップされると、すぐに専門のライターに孫氏にフォーカスした長文の読み応えのある記事を書かせるなど、タイミングを逃さない。記事、図表、写真のスタイル、デザインはスマホの画面で見やすいように加工している。購読料は月額1500円(税込み)。購読を決めるスマホの手続きは1回か2回クリックするだけで完了、新聞社系サイトと比べると煩わしさがない。

共同作戦

 LINEは、150社のメディアからニュースの提供を受け、「プッシュ型」で広告モデルを中心にラインニュース「LINE NEWS」を提供している。SNSブームを背景に「LINE NEWS」を見るアクティブユーザー数が10歳代から40歳代を中心に、月間利用者数が4600万人(昨年12月末)と急激に伸びている。

 「やさしいニュース」というコンセプトの無料ニュースサイトだが、昨年12月に「週刊文春」と提携、今年1月から「文春砲」と呼ばれる特ダネを「文春」発売日の朝7時にLINEの有料サイトにアップするサービスを始めた。「文春砲」は昨年、芸能ニュースのスクープだけでなく、甘利明・前経済再生担当相や舛添要一・前東京都知事の「首」を取るなど、マスコミ界を揺るがせる報道ぶりが光った。LINEにとってはスクープ記事でサイトへのアクセス数が稼げ、「文春」はLINEのサイトに先行させて話題作りができる。週刊誌とSNSサイトの共同作戦といえる。


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