2024年12月19日(木)

Wedge REPORT

2017年3月14日

エンジニアが作るニュースサイト

 12年にスタートしたスマートニュース「SmartNews」は新聞、通信、雑誌など2000以上からニュース提供を受けているニュースアプリ。高速でカテゴリーごとの表示ができるなどスマホでの使い勝手の良さから、幅広く読者層を増やしている。広告モデルを展開、記事の提供先に読者を誘導し、広告収入をスマートニュースと提供先が分け合う形だ。スタッフに編集経験者は少ない。何千という記事の中からAI(人工知能)も使った機械がプログラムで記事を選ぶ仕組みだ。

 松岡洋平マーケティング・ディレクターは「大量で多様な記事の中から人間が記事を選ぶ時間はない。有料無料を問わず、『よりたくさんの記事の中から、読者の反応などを見ながら機械が選んだ』記事を求める読者も多い。ニュースの見方もいろいろあり、スマホを使って短時間で心地よく見たいというニーズに答え、読者をさらに増やしたい」と話す。ITを使うことで、同じような内容に記事がダブった形でアップされることを防ぐことができるという。社員の6割以上がITエンジニアで、まさにエンジニアによって作られるニュースアプリだ。しかし、人権、差別問題と言った編集上の微妙な判断が求められる記事をAIが判断するのは難しい。大量の記事を機械がさばきながら、編集の質をいかに確保するかが、ここでも問われている。

PV、アクセス数のマジック

 ニュースサイトがどれくらい見られているかを示す数字として、ページビュー(PV)やアクセス数がよく使われる。しかし、実際に利用者が閲覧する回数よりも多めに表示されることも多く、注意する必要がある。PVの計算方法は、同じ人が10回閲覧しても、10人が1回ずつ閲覧してもページビューが10増えたように表示される。一方で、ユーザーが同一人物の場合には複数回閲覧しても1として数える手法もあり、ユニークユーザー数とも呼ばれる。LINEが言う月間アクティブユーザー数というのは、1カ月の期間内で同じ人が複数回アクセスしても1として数えるユニークユーザー方式で、「アクティブ」と付くのは、1カ月に1回以上利用していれば「アクティブに利用しているユーザー」とみなすという意味だ。

 その場合でも、職場のパソコンでニュースを読んで、帰宅してから自宅のパソコンで同じニュースの続きを読んだ場合は、読んだ人間は同じでもアクセス数は2回にカウントされる。読む人は同じでも、パソコンやタブレット、スマホなど異なる端末からアクセスできる時代になっているため、厳密な意味での別人が何回アクセスしたかを調べるのは難しい。

 また、検索エンジンが各サイトを巡回する際の機械的なアクセスや、ニュースアプリから自動的にコンテンツを拾ってきて何らかの処理をする人工知能のようなプログラムなども1人としてユーザー数に含まれる。このような、人間の代わりに自律的に動いてくれるプログラムを一般的にbot(ボット)と呼ぶ。有料サイトであれば契約数という確実な指標があるが、無料サイトの場合、botと人間を区別することが難しいため、正確な利用者数を把握するのは難しいのが現状だ。このため、月間アクティブユーザー数はサイトの規模を表す一定の指標にはなるが、算出方法の厳密な決まりがあるわけでなく、サイトによって計算方法がまちまちなことが多い。悪質な業者は、botを使って自社サイトの閲覧数を水増しすることで広告料を稼いでいる例もあるようだ。


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