さらに趣旨に賛同する日本の財界人が中心になって「日本百賢アジア研究院」という一般社団法人を日本に設立。渡辺喜宏・三菱東京UFJ銀行顧問が理事長に就いている。
百賢亜洲研究院では、奨学金を給付している学生を一堂に集めるサマープログラムにも力を入れている。昨年は早稲田大学で実施したが、今年は台湾国立大学で実施する予定だ。
トランプ大統領の登場で、中国と台湾の間にも政治的に微妙な空気が流れている。こういう時だからこそ、アジアの学生が台湾に集まり、交流する意味は大きいだろう。
アジアの未来のリーダーにはどんな資質が必要なのか。
ロナさんは、「オープンマインドであることが重要だ」と語る。選ばれる奨学生はすでにオープンマインドな学生が多いというが、海外で学び、様々な国の学生と共に生活をすることで、それに磨きがかかるのは間違いないだろう。
そうしたオープンな学生たちが、それぞれの国の指導的な立場になることで、よりオープンな国と国との関係にもつながっていく。将来に向けて奨学生の同窓会ネットワークも整備していくという。
日本の大学との交渉などに当たるロナさんが心配していることがある。海外に留学したいという希望を持つ日本人学生が少なくなっているように感じることだ。条件の良い奨学金制度を作っても、利用してくれなければ前には進めない。
「もう歳ですから。日本で良くしてもらった恩返しです」と笑うチャオさん。そんなチャオさんの思いを受け止める未来のリーダーたちが増えていくことを祈りたい。
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