Back numberバックナンバー
目次・見どころ
特集
日本社会にあえて問う 「とんがってる」って悪いこと?
日本流でイノベーションを創出しよう
イノベーション─。全36頁に及ぶ2022年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の本文中で、22回も用いられたのがこの言葉だ。
「新しくする」という意味のラテン語「innovare」が語源であり、提唱者である経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが「馬車を何台つないでも汽車にはならない」という名言を残したことからも、新しいものを生み出すことや、既存のものをより良いものにすることだといえる。
「革新」や「新機軸」と訳されるイノベーションを創出するには、前例踏襲や固定観念に捉われない姿勢が重要だ。時には慣例からの逸脱や成功確率が低いことに挑戦する勇気も必要だろう。
平等主義や横並び意識の強い日本社会ではしばしば、そんな人材を“尖った人”と表現する。この言葉には、均一的で協調性がある人材を礼賛すると同時に、それに当てはまらない人材を揶揄する響きが感じられるが、果たしてそうなのか。
“尖る”という表現を、「得意」分野を持つことと、「特異」な発想ができることという“トクイ”に換言すれば、そうした人材を適材適所に配置し、トクイを生かすことこそが、イノベーションを生む原動力であり、今の日本に求められていることではないか。
編集部は今回、得意なことや特異、あるいはユニークな発想を突き詰め努力を重ねた人たちを取材した。また、イノベーションの創出に向けて新たな挑戦を始めた「企業」の取り組みや技術を熟知する「経営者」の立場から見た日本企業と人材育成の課題、打開策にも焦点を当てた。さらに、歴史から日本企業が学ぶべきことや組織の中からいかにして活躍できる人材を発掘するか、日本の教育や産官学連携に必要なことなどについて、揺るぎない信念を持つ「研究者」たちに大いに語ってもらった。
多くの日本人や日本企業が望む「安定」と「成功」。だが、これらは挑戦し、「不安定」や「失敗」を繰り返すからこそ得られる果実である。次頁から“日本流”でイノベーションを生み出すためのヒントを提示していきたい。
PART 1 “突き抜けた“人たち
やりたいことを信じて続ける 個の突破力を生かそう
北野宏明 ソニーグループ 執行役専務兼CTO
本業でピカイチを目指せ 大企業で新規事業を生む要諦
深堀 昂 avatarin 代表取締役CEO
何かに没頭し、自由に挑戦する それが私の原点
小津野 将 オムロンサイニックエックス シニアリサーチャー
日本を“黒船”で変える! 固定観念を打ち破る突破口
藤田浩之 米クオリティー・エレクトロダイナミクス(QED) 創業者兼CEO
PART 2 第二の創業時代へ
幕末混乱期と近似する現代 歴史から企業が学ぶべきこと
先﨑彰容 日本大学危機管理学部 教授
PART 3 発掘のすゝめ
研究成果に世界が注目 スター社員を生み出す鍵
服部泰宏 神戸大学大学院経営学研究科 准教授
PART 4 経営層が持つべき視点
過去の成功体験は通用しない 挑戦する人材に積極支援を
宮部義幸 パナソニックホールディングス 取締役・副社長執行役員
「真の多様性」を定義し「意識的に」受け入れよう
森本典繁 日本アイ・ビー・エム 常務執行役員・CTO兼研究開発担当
PART 5 変革に挑む企業
Sansan 名刺交換で終わらせない 出会いが導く新たな未来
編集部
大阪大学フォーサイト ビジネス界と学術界の通訳で新価値の創造を促す!
編集部
PART 6 日本社会を変える
天才たちの雑談 アンコール
さらば昭和モデル 博士人材が活躍できる日本へ
加藤真平×新藏礼子×瀧口友里奈×合田圭介×江﨑 浩
特集
- ■WEDGE_OPINION 1
- デジタル=エコの虚構 エネルギーの大量消費を見直せ
-
ギヨーム・ピトロン ジャーナリスト
- ■WEDGE_OPINION 2
- 「核の忘却」の時代は終わった 日米で核抑止の本格議論を
-
高橋杉雄 防衛省防衛研究所 防衛政策研究室長
- ■WEDGE_REPORT 1
- 移動を促し、体験も豊かに 進化するバーチャル技術
-
多賀一晃 生活家電.COM 主宰
- ■WEDGE_REPORT 2
- 黎明期にあるスマート農業 “実装の壁”を乗り越えるには
-
編集部
- ■WEDGE_REPORT 3
- INTERVIEW
- スマート農業で「ゲームチェンジ」を起こす
-
野口 伸 北海道大学大学院農学研究院 副研究院長・教授
連載
- 新しい原点回帰 by 磯山友幸
- 革新を続け、ニッチで生きる 糊の「ヤマト」の事業精神
- 社会の「困った」に寄り添う行動経済学〈実践編〉 by 佐々木周作
- 高校生が身近な課題を解決するには?
- インテリジェンス・マインド by 小谷 賢
- ナポレオンの命運を左右した「情報」とは
- 近現代史ブックレビュー by 筒井清忠
- 『板垣退助 自由民権指導者の実像』 中元崇智
- 1918⇌20XX 歴史は繰り返す by 麻田雅文
- 日本を惹きつけるサハリンの資源 「政経分離」は可能なのか
- MANGAの道は世界に通ず by 保手濱彰人
- サッカー『ブルーロック』に見る シンデレラストーリー
- さらばリーマン by 溝口 敦
-
アプリ製作から基礎工事まで 時流を読む叩き上げ職人
込宮英紀さん(ブレイブ代表取締役)
- 時代をひらく新刊ガイド by 稲泉 連
-
『尚、赫々たれ 立花宗茂残照』 羽鳥好之
- Letter 未来の日本へ by 河合香織
-
仏教の基本 心と体が「今ここにいること」の意味
橋村公英 東大寺 別当・華厳宗 管長
- 各駅短歌 穂村 弘
- 拝啓オヤジ 相米周二
- 一冊一会
- 読者から/ウェッジから
2023年2月号
2023年1月20日発売
定価550円(税込)
特集
日本社会にあえて問う 「とんがってる」って悪いこと?
日本流でイノベーションを創出しよう
購入する
お申込み前に必ずご確認ください1.定期購読のお申し込み方法
当社定期購読に関するお申込みについては、「富士山マガジンサービス」が受付窓口となります。
スマートフォン/パソコンからご注文いただけます。
※「富士山マガジンサービス」のお申込み画面に切り替わります。
月刊誌「Wedge」
https://fujisan.co.jp/pc/wedge
旅の月刊誌「ひととき」
https://fujisan.co.jp/pc/hitotoki
※1. お申込みは「富士山マガジンサービス」の利用規約に準じます。
※2. 定期購読のお申込み時に、ご登録いただきましたご住所、お名前、電話番号のお客様情報は、株式会社ウェッジと、Fujisan.co.jpにて、それぞれのプライバシー・ポリシーに則り、厳重に個人情報を取り扱います。
「富士山マガジンサービス」プライバシー・ポリシー
https://www.fujisan.co.jp/guidance/info-personal-information/?link=footer
※3. お申し込みのタイミングによっては、ご希望の開始号からお届けできない場合がございます。
※4. 発売日前日、当日のお届けはお約束いたしかねます。発売日から数日後のお届けになる場合もございます。また、天候や配送会社の都合により遅れることもあります。あらかじめご了承ください。
※5. お支払い方法によって、お振込手数料はお客様にご負担頂いております。
<年間定期購読の途中解約について>
・ご購読期間中の途中解約は、承っておりませんので、あらかじめご了承ください。
2.単品購読の場合
・全国の書店、オンラインショップでご注文ください。
3.乱丁・落丁
・乱丁・落丁は、良品とお取り替えいたします。
4.発行日等の変更
・雑誌の発行日、発行頻度、誌名および誌面内容を変更する場合がございます。
5.雑誌送付時の同封物
・雑誌をお届けする際、弊社からの書類・ご案内を同封する場合がございます。なお、これらの同封物は一部地域に限定させていただく場合がございます。
6.その他
・未成年者の場合は、本規約に同意すること、およびの各行為をすることについて、事前に保護者等の法定代理人の同意を得るものとします。
また、場合によって「送本のご確認」をさせていただくことがございますので予めご了承ください。
■ 株式会社ウェッジのプライバシーポリシーについて ■
株式会社ウェッジでは、お客様の個人情報の重要性を認識し、その収集、利用、保護における適切な運営を図るため、次のような方針に基づいて管理を行っています。
- 個人情報保護に関する法令を遵守します。
- 個人情報は、本プライバシーポリシーの3に定める利用目的の達成に必要な範囲内で適正な方法にて収集します。
- 収集及び保有する個人情報は、以下に定める利用目的の範囲内でのみ利用します。
- (1)ご購入、ご応募、ご登録いただいた商品、サービス等及びこれらに関する情報などの送付・提供(お申込みの確認を含みます)のため。
- (2)弊社が提供する商品、サービス等に関するご意見、お問合せへの回答のため。
- (3)読者、利用者に関する調査及び分析並びにこれらのための協力のお願いのため。
- (4)上記(1)、(2)、(3)にかかる事務連絡、各種ご案内の送付・提供のため。
- (5)弊社商品、サービス等の改善及び新しい商品、サービスの企画、開発等のため。
- 個人情報の取扱いについては、管理責任者を置き、社内のルールに従い厳重かつ適切に管理します。
- 弊社では、弊社商品・サービス等(プレゼント、お申込み又はご請求いただいた資料、案内、情報等を含む)の発送作業その他個人情報の取扱いにかかる業務を委託する場合があります。
この場合、弊社は委託先との間に、個人情報の守秘義務を含む個人情報保護に関する契約を締結するものとします。 - 個人情報の取扱いについてのお問い合せは、privacy@wedge.co.jpまでご連絡くださいますようお願いいたします。
イノベーション─。全36頁に及ぶ2022年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の本文中で、22回も用いられたのがこの言葉だ。
「新しくする」という意味のラテン語「innovare」が語源であり、提唱者である経済学者のヨーゼフ・シュンペーターが「馬車を何台つないでも汽車にはならない」という名言を残したことからも、新しいものを生み出すことや、既存のものをより良いものにすることだといえる。
「革新」や「新機軸」と訳されるイノベーションを創出するには、前例踏襲や固定観念に捉われない姿勢が重要だ。時には慣例からの逸脱や成功確率が低いことに挑戦する勇気も必要だろう。
平等主義や横並び意識の強い日本社会ではしばしば、そんな人材を“尖った人”と表現する。この言葉には、均一的で協調性がある人材を礼賛すると同時に、それに当てはまらない人材を揶揄する響きが感じられるが、果たしてそうなのか。
“尖る”という表現を、「得意」分野を持つことと、「特異」な発想ができることという“トクイ”に換言すれば、そうした人材を適材適所に配置し、トクイを生かすことこそが、イノベーションを生む原動力であり、今の日本に求められていることではないか。
編集部は今回、得意なことや特異、あるいはユニークな発想を突き詰め努力を重ねた人たちを取材した。また、イノベーションの創出に向けて新たな挑戦を始めた「企業」の取り組みや技術を熟知する「経営者」の立場から見た日本企業と人材育成の課題、打開策にも焦点を当てた。さらに、歴史から日本企業が学ぶべきことや組織の中からいかにして活躍できる人材を発掘するか、日本の教育や産官学連携に必要なことなどについて、揺るぎない信念を持つ「研究者」たちに大いに語ってもらった。
多くの日本人や日本企業が望む「安定」と「成功」。だが、これらは挑戦し、「不安定」や「失敗」を繰り返すからこそ得られる果実である。次頁から“日本流”でイノベーションを生み出すためのヒントを提示していきたい。