疑わしきはみんなOKにすればいいのか?
もうひとりはいまやソフトバンクのエースとなった東浜巨。彼は入団した13年、左足を上げる際、膝を内側にひねった一瞬、止まっているかのように見えた。亜細亜大時代には審判会議で「反則ギリギリ」と指摘されたこともあるという。東浜本人は「ぼくは微妙なフォームの動きのズレで打者のタイミングを外しています。自分の中のリズムがあるので」と発言。1年目のキャンプで審判がどう判断するか注目されたが、とくに問題視されることはなく、その後東浜本人もフォームを微調整して今日に至っている。
2014~15年、阪神で抑えを務めた呉昇桓(オ・スンファン)も判定の難しい投げ方をしていた。踏み込む左足を着地させる寸前、ほんの一瞬上げるのだが、はっきりと止めているようにも見えたのだ。呉は来日1年目のキャンプで友寄審判長が自ら視察し、「いまはダメとかOKとかの判断はできない。審判の中からは、ちょっとどうなのかという意見が出ていた。これから話し合って統一見解を出します」とコメント。最終的には、お咎めなしでメジャーリーグへ去っていった。
ストライクゾーンと同様、2段モーションの判定も、審判の主観に左右されがちな面があることは否めない。「それならこの際疑わしきはみんなOKにすればいい」と言うプロ野球OB評論家もいる。しかし、できる限り明確な線引きはやはり必要だ。こういう問題は感情的にならず、判定する側と判定される側がきちんと話し合って善後策を立てるしか解決策はない。せめて、どのぐらいの「間」や「段」が反則投球になるのか、球界全体で毎年開幕前に選手やファンに周知するというような努力をしたほうがいいと思う。
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