2024年12月7日(土)

青山学院大学シンギュラリティ研究所 講演会

2018年5月3日

モーターと電池から見えた未来

 私が感じたシンギュラリティは、アメリカで近くの湖に釣りに行こうとなった時に数マイル先までドローンを飛ばして魚がいるかどうかを確認した時です。レジャーに使えるほどドローンは身近なものになっていました。最近では韓国の冬期オリンピックの時に1,218機のドローンを使って五輪のマークを作ったことが印象的でした。実験的には人間が乗れるタイプもできています。

 また、私の知人で元船長が広島で興した会社では、潮流発電に挑戦しています。海流を使って発電するために、マグロタービンと呼ばれる発電機を開発して、世界の海に沈めて発電しようとしています。出力は10kWとそんなに大きくありませんが、エネルギーの変換効率は太陽電池発電が18%に対して海流発電は100%*になります。水深5m以上あれば使えるものの日本の川は浅いのでなかなか難しいのですが、これを数千個も海に沈めたり、中国なら揚子江に沈めたりして、世界の海や川で発電できるようになります。

*参考資料:http://www.naikai-power.co.jp/tidal/nova-energy.html

 私が松下電器に入社したのはちょうど50年前です。その時の松下幸之助の話で、私たちはモーターを作っています、電池も作っています、太陽電池の実験も始めました。この2つを使って将来は自動車にも進出するかもしれないので、皆さん勉強してくださいと言われました。あれから50年、松下電器250年計画の1つの節目がやってきました。

 私はアメリカで2年働き帰国後は電池事業部に配属されました。その時に電池、モーターで箱があれば自動車ができるという話に夢を感じました。このようなことがシンギュラリティのひとつの使命でもあります。

 では、今に何を作るかと言えば、ロケットです。アメリカでは「PayPal」創設者のイーロン・マスクが設立した、宇宙輸送サービス会社「SpaceX」が火星への移民を呼びかけ、ロケットブースターの再利用に成功しました。同社は有人火星飛行を2024年に計画しています。

 そして、この最先端技術から家電品に技術が降りてくるかもしれない。従来もそのような応用事例はありました。大きな夢を描いてその技術を実用化していくことが経営者の大きな目標だと考えております。


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