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2019年1月19日

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 CESで人が集まるコーナーの一つがゲーミング関連だ。VRゲーム用のヘッドセットからゲーミングに特化したヘッドホン、VRゲームに対応した足で操作できるプレステ用コントローラなど、様々な製品が並んでいた。ハードが充実する中で、5Gネットワークの到来により、従来よりコネクテッドなゲームの登場、よりリアルなVRゲームなど、ソフトにも期待が高まっている。

(scyther5/Gettyimages)

 そんな中、気になる情報が飛び込んできた。アマゾン、マイクロソフト、グーグルがこぞってクラウドゲーミングに参入する、というのだ。マイクロソフトはともかく、これまでゲームとは関係のなかったITとコマースの大手がなぜゲーム業界に興味を示すのか。

足で操作できるプレステ用コントローラ

 まずマイクロソフトだが、昨年10月の時点ですでに今年中にクラウドゲーミングをテスト運用する、と発表している。マイクロソフトと言えば2000年にXボックスを発売したコンソール型ゲーム機器メーカー大手でもある。そのマイクロソフトがコンソールを必要としないクラウドゲーミングに参入しようという。プロジェクトXクラウドと呼ばれるサービスで、「いつでもどこでも人々がゲームを楽しめる環境」を提供するのが狙いだ。

 一方でこれまでゲームを扱っていなかったグーグルも、プロジェクト・ストリームという名前で一部ユーザーをテスターとしたクラウドゲーミングサービスを既に開始している。このサービスは大人気で、同社のHPでは「現在定員オーバーで新たなテスターを受け入れていない」とウェイトリストの状態となっている。

 そしてアマゾンだが、2020年にも独自のクラウドゲーミングサービスを開始すべく準備中だと言われている。ゲーム配信という意味ではマイクロソフトらに遅れをとっているものの、映像ストリーミング配信では1日の長があるだけに、サービスを開始すれば一気に業界トップになれる可能性を秘めている。

 ゲーム業界は過去10年ほどで大きく様変わりした。かつてはソニーのプレイステーションとマイクロソフトのXボックス、そして任天堂がコンソールゲームで競い合っていた。しかしここ数年はスマホゲームに押され、コンソールの売り上げは頭打ち状態となっている。任天堂がゲーム画面をスマホに切り替えられるスイッチを販売したのは、こうした潮流に対抗するためだ。

 時代は変わり、マイクロソフトやグーグルはそのサービスの中心をクラウドサービスに移行した。そして人々の嗜好も自宅でコンソール相手にゲームを楽しむことから、スマホやタブレット、PCでのゲームを好むようになった。WiFiやデータ通信の発展がリアルタイムゲームの画質の向上、内容の充実、そしてコネクテッドサービスによるコミュニティ構築などを助長した。

eスポーツの台頭

 もう一つゲーミングに注目が集まる理由がeSportsの台頭だ。昨年はスポーツ専門チャンネルであるESPNがeSportsリーグとの放映契約を結ぶなど、eSportsにとって躍進の年となった。今年中にeSportsの市場規模は9億ドルを超える、とも予想されている。eSportsで人気の出たゲームをストリーミングによりオンライン配信することで、クラウドゲーミングは大きな利益を見込めるのだ。

 そしてクラウドサービスに参入を試みるのはここに挙げた大手3社にとどまらないだろう。ビデオ配信への参入に積極的なフェイスブック、映像ストリーミングサービスの雄であるネットフリックス、さらにユーチューブなど、ストリーミングゲームを提供できるプラットホームを備えた企業は多い。

 しかしそうなると、現地報道などによれば、ソニー、任天堂はクラウドサービスへの参入が遅れているだけに苦しい立場になるかもしれない。Xボックス用の多くのコンテンツがストリーミングで利用できるようになれば、高いコンソールやソフトを購入しなくても月々一定額でこれまでと同様のゲーム体験がモバイル環境でも楽しめるようになる。コンソールビジネスにこだわっていては時代に乗り遅れることにもなりかねない。

 ストリーミングはテレビや映画にも大きな影響を与えた。特にジェネレーションYと呼ばれる若い世代は自宅にテレビを持たず、好きな映像をスマホやタブレットで楽しむ、という環境に親しんで育ってきた。ゲーミングにも同じことが言えるだろう。もし本当にマイクロソフト、グーグル、アマゾンがストリーミングゲームに参入するようになれば、業界の勢力図に大きな変化がもたらされそうだ。

  
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