2024年11月22日(金)

中年留学日記

2011年11月15日

 まずは持っている保険内容の詳細な確認から始まった。私達は病気やケガをカバーしてくれる年間契約の旅行傷害保険を持ってきたが、受付では相談や診療よりも先に保険のチェックと支払い請求先の確認だ。

 保険会社によってはキャッシュレスですむ場合もあるのだが、私達の日本の保険はクリニックとのキャッシュレス支払いの提携がなかったため、自分でカスタマーセンターに問い合わせたうえで、病院側が保険内容を再確認する必要があった。これに結構時間がかかり、キャッシュレス可能な状態にもってゆくまでにかなりの手間を要した。まだ今回は病気でないから良かったが、本当に病気になって医師にかかる時にこんな悠長な作業をしていては、治る病気も悪化してしまうと思った。

 この経験を通じて、米国では保険を持っていない人は医師にもまともにかかれないということを実感した。米国の医療保険事情は悪く、オバマ大統領が医療保険改革に苦労した事情もよくわかった気がした。世界一の経済力を誇り、科学技術も進んでいる国で、一般の人が経済的な不安を感じながら健康を守らざるを得ない医療小国の米国。日本もいろいろな問題はあるにせよ、医療に関してまだ恵まれていると思った。

保険がなければ身を守れない米国社会

信号無視で交差点に進入した乗用車は前部が大破。ケガはなかったが保険のことばかり気にするマイクロバス運営会社

 保険といえば最近、交通事故に巻きこまれた。大型ショッピングモールに買い物に行く際に最寄駅からシャトルバスに乗ったのだが、そのバスに信号無視の乗用車が突っ込んできた。幸い自分を含めバスの乗客には何のケガもなかったが、乗用車は前部が大破し、シャトルバスも側面が傷ついた。すぐに警察が来てケガ人がないか確認したが、バスの運転手からは乗客にその場に残るように指示があり、後日、保険会社が連絡するから住所と名前、連絡先を紙に書くように言われた。

 実際にはその後、何の連絡もないのだが、米国というのは何事にも保険会社が介入してくる社会なのだなという思いを強くした。女性が米国で出産する場合でも目の飛び出るような高額な費用がかかり、費用をカバーできる十分な保険に入っていないと大変だという。治療内容や入院日数も細かく決められていることが多いそうで、こうした社会が本当に幸せなのかということをしばし考えさせられた。


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