Wedge創刊30周年記念インタビュー・新時代に挑む30人

2019年4月30日

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 「だからこそ、民主的に選ばれたリーダー、意思決定を行う立場にある〝エリート〟の歴史観、歴史意識を涵養(かんよう)することが大事だと思います。例えば、イギリスがEUからの離脱を国民投票で決めた『ブレグジット』です。あれはキャメロン前首相の大失策です。彼自身はブレグジットを非合理だと考えていたはずで、その判断に自信を持っていれば、国民に信を問わずともできたと思います」

 政治面から見た平成という時代はどのように映るのだろうか。

 「二大政党制に向けて、衆議院では小選挙区制を導入し、2009年には政権交代が実現しました。一方で、世界の上院のなかでも、特に強い権限を持っているのが日本の参議院ですが、参議院改革は行われず、これが近年の政治の混乱の一因になりました。外交では安全保障政策で前進が見られましたが、沖縄では混乱が続いています。

 少子化・人口減少問題は、いよいよ深刻な状態になりつつあります。私は、やるべき課題は見えていたにもかかわらず、抜本的な対策ができなかったのが平成という時代だったと思います」

 奈良岡は「失敗した政治家」に対しての関心が高いという。主要研究テーマの一つである加藤高明もその一人だ。大隈重信内閣で外務大臣として「対華二十一カ条要求」(1915年)を出したことが、現在に至る日中関係悪化の原点となり、帝国主義から国際協調主義への移行をはじめていた英国などとの関係性も悪化していく。

 この過程は奈良岡の『対華二十一カ条要求とは何だったのか 第一次世界大戦と日中対立の原点』(名古屋大学出版会)に詳しい。その加藤高明も、この外交的失敗を糧として、国際協調主義へと転換した。そして政友会に対抗する野党・憲政会の党首として10年間を耐え、1924年には憲政会が第一党となり加藤内閣が成立する。

 だからこそ、奈良岡は「この平成時代の失敗を真摯に学んで、糧にしていくことが必要です」と、未来を見据える。

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