2024年11月22日(金)

スウェーデンで生きる 海外移住だより

2011年12月10日

 昨年はクイズ番組の賞品として招待席が懸けられていたりもしましたが、大半はスウェーデン国内の大学に通う学生で、100ほどの席が割り当てられています。しかし、その席を手に入れるまでが大変! まず、ストックホルム学生中央組合に加入していることが第一条件。それを満たして初めて、組合が販売する1枚50kr(約575円)の抽選券を購入することができます。さらに運よく当選できても、それで招待状が送られてくるわけではありません。出席費として1人1800kr、さらにペアで出席することが前提なので、つまり2人で3600kr、約41400円の支払いが要求されるのです(2011年12月1日現在、1kr=約11.5円)。

 今年は50枚のペアチケットが用意され、学生組合によると3551枚の抽選券が販売されました。これだけ高額なチケットでも、人生一度の忘れられない経験になりますから、毎年何千を超える多くの学生が抽選に応募します。

受賞者と交流できるアフターパーティー

今年のアフターパーティーの会場の1つ、ストックホルム大学敷地内にあるアウラ・マグナ会館。

 晩餐会に出席したゲストは、受賞者と自由に交流ができるノーベル・ナイトキャップ(NNC)と呼ばれるアフターパーティーにも参加することができます。抽選で晩餐会出席を逃した学生でも、事前申込みをして見事チケット(1枚500kr=約5750円)を確保できれば、このアフターパーティーからの参加が可能です。マスコミは立ち入ることができない為、その詳細は参加者のみの楽しみとなります。また、NNCは学生組合が企画主催し、当日の会場係も全て学生ボランティアが請け負います。特に未来を担う学生にとって、大先輩と直接触れ合える場としてNNCは大きな意味を持つのです。

 ちなみに、晩餐会のウェイター・ウェイトレスもそのうちの約100人は学生のボランティアです。彼らは何週間も前から入念に練習を重ね本番に備えるのですが、この任務に選ばれることもスウェーデン人学生にとっては光栄なことだそうです。

 学生でないからといって、がっかりすることはもちろんありません。毎年各受賞者が行う記念講演は一般公開されており、その年によって予約制だったり有料だったりとシステムは違いますが、大抵は誰でも会場に足を運び受賞者の生の声を聴くことができます。今年はトランストロンメル氏の文学賞講演のみ有料チケット制でしたが(11月末時点で完売)、その他の受賞者による講演は全ての人に無料公開されました。

ノーベル博物館。アルフレッド・ノーベルをはじめ、賞の歴史や歴代受賞者に関する資料が展示されている。

 さらに、旅行者を含め誰もがノーベル晩餐会の雰囲気を味わえる工夫もなされています。ストックホルム市庁舎の地下にあるレストラン「スタッズヒュース・シェッラレン(Stadshus Källaren)」では、第1回目から昨年度までのノーベルメニューに加え、晩餐会以降は早くも今年度のメニューを堪能することができるのです(要予約)。また、ストックホルム旧市街地にあるノーベル博物館では、ノーベル賞メダルを模倣したチョコレートも売られています。このチョコレートは2002年化学賞受賞者の田中耕一氏や2008年物理学賞受賞者の益川敏英氏も記念に大量購入したそうです。


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