2024年12月23日(月)

田部康喜のTV読本

2019年11月7日

 日本テレビ「同期のサクラ」(毎週水曜午後10時)は、花村建設に2009年に入社した同期が繰り広げる、ちょっとほろ苦い青春讃歌である。主人公の北野サクラ役の高畑充希のコメディアンヌぶりが楽しめる。サクラを囲む同期役の橋本愛、新田真剣佑、竜星涼、岡山天音の演技も魅せる。

(tuaindeed / gettyimages)

 脚本は、大ヒットドラマ「家政婦のミタ」(2011年、日テレ)で知られる、遊川和彦。高畑とのコンビでは「過保護のカホコ」(2017年、日テレ)のヒットもある。

 東京キー局の視聴率競争のトップランナーである、日テレの編成・制作の戦略の一端ものぞかせる。テレビの視聴者が中高年に偏ってきたのを打開するために、若年層の開拓を進めている。昨秋から今春ドラマにかけて、3期連続で学園ドラマを放送した。1970年から80年代以来のことである。

 「同期のサクラ」は毎回、病室から始まる。入社10年後のサクラは、意識不明のまま、酸素マスクをかけて横たわっている。同期がひとりずつ現れては、「サクラ、早く眼を覚ませ」と呼びかけながら、サクラの思い出を振り返る。サクラがなぜ、意識不明になったのか、それは最終回に向けて明らかになっていくのだろう。

 離島出身のサクラは、故郷の島に本土から橋をかける夢を抱いて花村建設に入社した。嘘をつけない、まっすぐな性格である。土木部門が志望だったが、同期のグループではただ一人希望がかなわず人事部に配属された。

 月村百合(橋本愛)は広報部、木島葵(新田真剣祐)は都市開発部、清水菊夫(竜星涼)は営業部、土井蓮太郎(岡山天音)は設計部で働くことになった。

 サクラの率直な物言いは、職場に波紋を投じる。上司の命令であっても、疑問を抱くと「すーっ」という音をたてて息を吸い込む。新人研修の際に、グループごとの建設案のコンペで、社長賞を獲得した案も「社長がかつて手掛けたプロジェクトにそっくりで新鮮味がない」と声を上げる。

 「じゃあ、君のグループのプランが一番だというのか?」と、人事部長の黒川森雄(椎名桔平)が問いかけると、「いえ、この保育園のプランは、花井建設の歴史に残る建物になります」と答える。

 そんなサクラを人事部に引き取った、黒川(椎名)にもある思惑がありそうである。サクラを人事部からいったんは、社史編纂室に異動させ、再び人事部に呼び戻す。


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