2024年12月24日(火)

Wedge REPORT

2012年4月26日

 3月5日、徳島県が公募した3カ所の県所有地におけるメガソーラー事業者が発表された。ソフトバンクと日本アジア系のソーラーウェイ。これは想定内だったが、徳島県の資料のある数字に衝撃が走った。

 それは土地利用料だ。ソフトバンク(SBエナジー)・小松島港赤石地区520円/平方メートル・年、同・徳島空港臨空用地420円/平方メートル・年、ソーラーウェイ・マリンピア沖洲廃棄物最終処分場跡地273円/平方メートル・年となっている。

 中央環境審議会のワーキンググループに筆者は参加していたが、メガソーラーは本来、土地として利用困難な場所を有効利用するという前提で議論されてきた。多くは最終処分場で、それでもポテンシャルは約1100万キロワット程度が見込まれていた。土地代は、国家戦略室のコスト等検証委員会報告書では事業者ヒアリングを基に100円/平方メートル・年、業界団体の太陽光発電協会資料でも150円/平方メートル・年となっていた。それに比べ飛び抜けて高い数字が出てきたのだ。

 つまりメガソーラーで一番儲かるのは地主となる可能性があり、施工業者やソーラーパネルメーカーは徹底的に価格を叩かれる、そんな未来も想像できてしまう。「自然エネルギーで雇用を生もう」その言葉が虚しく響きそうだ。

 土地代520円/平方メートル・年、利用面積 3.5万平方メートル、出力2.8メガワット、発電量327万キロワット時/年とすると、発電単価に占める土地代は5.6円/キロワット時に相当し、メガソーラーの買取価格を40円とすれば実に14%を占めてしまう。ソフトバンクの孫正義社長が全国250箇所程度検討して買取40円でも200箇所が赤字と答弁したが、土地代がその理由かもしれない。

 まず、土地代がかからない場所でビジネスを成立させる事が事業者の務めではないだろうか。高い土地を調達し、買取価格を上げろと言うのではなく、使いにくい土地を創意工夫で事業化させる。このなかからのイノベーションを期待したい。

 第3回委員会のヒアリングで興味深かったのは地熱業界だった。買取期間は15年でその後は自立したいと発言。成功事例、失敗事例もきちんと開示していた。委員からは、逆に15年で良いのか? 膨大な開発費用はちゃんと含まれているのか? と心配するかのような質問が相次いだ。会員会社が4社しかなく纏まりやすいのだろうが、早く独り立ちするという意思表示は評価すべきだ。

 買取制度の負担者である、日本商工会議所の代表者が、安定的な利潤などなく、電力料金値上げでも苦しむなか、なぜ再生可能エネルギーの事業者は利潤を固定されるのか? という切実な言葉を発していた。

 業界関係者は、再生エネルギーで国家社会に貢献する気概を持って欲しい。また、汗をかいたものがその対価を適切に享受し、その結果として日本に新たな産業と誇りある雇用が生み出されるような制度設計をお願いしたい。

◆WEDGE2012年5月号より

 

 

 

 

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