2024年4月20日(土)

ショーゼンさんの 川柳いろは教室

2012年6月20日

 こんにちは、川柳作家の杉山昌善です。きょうも川柳詠みのコツを一緒に学んでいきましょう。

凡百の句か、きらりと光る句か

ショーゼン 生徒ののぞみさん、川柳を始めて半年が経ちましたが、おもしろくなってきました?

のぞみ はい、ショーゼン先生。通勤電車に乗っていても、その光景を5・7・5にできないかなって、考えるようになりました。

 ところで先生、この前初めて句会に行ってみたんです。句箋(くせん)という紙に句を書いて投稿して。緊張しましたけど、いいものですね。入選した方は柳号を呼ばれていて、かっこいいなあ、と思いました。「のぞみ!」って呼ばれる声が会場に響き渡ったら気分いいだろうなあ……。

ショーゼン 夢は大きいほうがいいですからね。句会は、最初は敷居が高いと感じるだろうけど、飛び込んでしまえばすごく勉強になります。何より仲間ができるから、他人の作品や句会での会話が自分の句作のヒントになる。一人で考えるだけじゃ、ワンパターンな句になったり、煮詰まっちゃうときってあるでしょ? 句会はあちこちで開催されているから、どんどん参加してみて。
で、のぞみさんは、どんな句を詠んだの?

のぞみ お題が「風」だったんです。それでこんな句を詠んでみました。

舞い上がる風に吹かれて花吹雪  のぞみ

ショーゼン ……うーん、平凡! 僕は公募川柳の選者を頼まれることが多いんだけど、応募作にはこういう句が意外と多くてね。残念ながら、その典型だな(笑)

のぞみ ええー、そうですか? 情景はきれいだし、散った花びらが日本人らしい無常観を表しているかなー、なんて思ったんですけど。

ショーゼン 情景が絵として美しくても、それだけではなかなか読み手に響いてこない。こういう状況説明句では、凡百の句から抜きんでることはできないのだよ。なぜなら、この句には、のぞみさんの心があまり感じられないからなんだ。

のぞみ  難しいなあ。

さよなら、説明川柳

 では今日は、この説明型川柳から抜け出すコツを学びましょう。お題に引っ張られた状況説明になってしまっている句では、残念ながら、読み手はもちろん選者にも印象に残りません。


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