こんにちは、川柳作家の杉山昌善です。きょうも川柳詠みのコツを一緒に学んでいきましょう。
凡百の句か、きらりと光る句か
ショーゼン 生徒ののぞみさん、川柳を始めて半年が経ちましたが、おもしろくなってきました?
のぞみ はい、ショーゼン先生。通勤電車に乗っていても、その光景を5・7・5にできないかなって、考えるようになりました。
ところで先生、この前初めて句会に行ってみたんです。句箋(くせん)という紙に句を書いて投稿して。緊張しましたけど、いいものですね。入選した方は柳号を呼ばれていて、かっこいいなあ、と思いました。「のぞみ!」って呼ばれる声が会場に響き渡ったら気分いいだろうなあ……。
ショーゼン 夢は大きいほうがいいですからね。句会は、最初は敷居が高いと感じるだろうけど、飛び込んでしまえばすごく勉強になります。何より仲間ができるから、他人の作品や句会での会話が自分の句作のヒントになる。一人で考えるだけじゃ、ワンパターンな句になったり、煮詰まっちゃうときってあるでしょ? 句会はあちこちで開催されているから、どんどん参加してみて。
で、のぞみさんは、どんな句を詠んだの?
のぞみ お題が「風」だったんです。それでこんな句を詠んでみました。
舞い上がる風に吹かれて花吹雪 のぞみ
ショーゼン ……うーん、平凡! 僕は公募川柳の選者を頼まれることが多いんだけど、応募作にはこういう句が意外と多くてね。残念ながら、その典型だな(笑)
のぞみ ええー、そうですか? 情景はきれいだし、散った花びらが日本人らしい無常観を表しているかなー、なんて思ったんですけど。
ショーゼン 情景が絵として美しくても、それだけではなかなか読み手に響いてこない。こういう状況説明句では、凡百の句から抜きんでることはできないのだよ。なぜなら、この句には、のぞみさんの心があまり感じられないからなんだ。
のぞみ 難しいなあ。
さよなら、説明川柳
では今日は、この説明型川柳から抜け出すコツを学びましょう。お題に引っ張られた状況説明になってしまっている句では、残念ながら、読み手はもちろん選者にも印象に残りません。