Wedge SPECIAL REPORT

2021年10月22日

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濱崎宏則 (はまさき・ひろのり)

長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科准教授

2005年早稲田大学大隈記念大学院公共経営研究科修士課程修了、立命館大学大学院政策科学研究科で博士号取得(政策科学)。東京大学アジア環境リーダー育成プログラム特任研究員、総合地球環境学研究所プロジェクト研究員を経て現職。

「Wedge」2021年7月号では、特集「資源ウォーズの真実 資源ウォーズの真実 砂、土、水を飲み込む世界」で、生命に欠かせない水資源の特性と世界の動きをレポートしております。ここでは、中国によるダム開発による影響を受けているとされるメコン河の〝真実〟を伝える記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。

 インドシナ半島を流れる大河・メコン河では今、ある異変が起きている。2020年3月、普段なら茶褐色に濁っているイメージの強いこの川が乾期に澄み切った色になり、水量が減りこれまで見られなかった川底が姿を現すようになったのだ。19年の雨季の少雨が主因と言われており、「50年に一度」とも言われる深刻な干ばつを経験した。

メコン河流域では、ダム開発が進められ、水環境の悪化を引き起こしている (SOPA IMAGES/GETTYIMAGES)

 もう一つの原因と考えられているのが、メコン河の本流・支流で進められているダム開発である。水量や水流、水質が変化し、下流に運ばれて堆積する土砂の量も減少するなど、生態系や人々の生活に影響を及ぼしている。地域住民に話を聞くと、近年、メコン河下流域で獲れる魚は減ってきているという。水量が減れば乾季の稲作ができなくなり、収穫量にも影響が出る。

 メコン河は、上流から中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムの6カ国を流れる国際河川で、水をめぐる環境の変化への対応はさまざまである。複数の国にまたがる国際河川では、自国の領内を流れる部分を利用・管理できることになっている。上流国による水資源の利用や開発が下流域に悪影響を及ぼし流域国間での対立の火種となることがあり、多くの国際河川で流域国が水資源管理のための委員会を立ち上げている。メコン河においても、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムの下流の4カ国を加盟国とするメコン河委員会(MRC)が設立されている。

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Wedge 2021年7月号より
資源ウォーズの真実
資源ウォーズの真実

現代文明を支える「砂」、「土(レアアース)」、「水」─。

世界ではいま、これらの戦略資源の奪い合いが起こっている。

ありふれた素材の「砂」は高層ビルから半導体まであらゆるものに使われ、

「土(レアアース)」は世界の自動車メーカーが参入する電気自動車(EV)に欠かせない。

そして生命に欠かすことのできない「水」……。

それぞれの資源ウォーズの最前線では何が起こっているのか。

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