Wedge SPECIAL REPORT

2021年10月14日

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「Wedge」2021年7月号では、特集「資源ウォーズの真実 資源ウォーズの真実 砂、土、水を飲み込む世界」で、生命に欠かせない水資源の特性と世界の動きをレポートしております。ここでは、その資源の特性と世界の潮流を伝える導入パートを公開します。2021年7月号の特集記事は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。

 フランス産ミネラルウォーター「ボルヴィック」の水源が枯渇しているというニュースが5月下旬、世界を駆け巡った。仏食品・飲料大手ダノンの工場が取水しすぎて地域住民は農作物を生産できない状態になっているという。

 世界的な人口増加や経済発展、気候変動などにより、水資源の枯渇が叫ばれている。国連の「世界水開発報告書2021年版」によると、世界で16億人が満足に水へアクセスできない生活を余儀なくされている。30年には、世界人口の4割にあたる34億人が水不足になるとも予想されている。

台湾・日月潭で今年5月に起きた干ばつ。「水不足」は世界共通の課題だ (REUTERS/AFLO)

 「ダボス会議」で知られる世界経済フォーラムの年次総会に合わせて発表される「グローバルリスク報告」でも、影響が大きいものとして、「水危機」が15~20年にかけて毎年トップ5に入った。これは、世界の政府やグローバル企業、市民団体へのアンケート調査に基づいている。21年は「天然資源危機」と食料など他の資源とまとめられた形で大きなリスクとされている。

 世界各国やグローバル企業が水資源に大きな関心を寄せる背景には、水が製造業はじめ幅広い産業とのかかわりを持っていることにある。台湾では現在、56年ぶりの干ばつに襲われ、スマートフォンや自動車などの機械機器製造に影響を及ぼしつつある。

 昨年、台風が一度も上陸しなかった台湾では、今年に入っても降雨が少ない。取水制限や計画断水といった判断が日々なされている。

 その影響を直に受けているのが半導体の製造だ。「半導体はとてつもなく小さなごみがついても回路の断線やショートが起きるため、限りなくきれいな状態を保ち続ける必要がある。400~1000もの製造プロセスがあり、多くの工程ごとに水で洗浄しなければならない。使う水も化学物質が含まれていない超純水が求められる」と日本半導体製造装置協会の小林章秀事務局長は話す。十分な水を確保できなければ、製造はままならないのだ。

 世界の半導体の半分以上が台湾で生産されており、操業停止となれば、さまざまな工業製品へ影響が広がる。このほか、自動車や機械部品に対しても多くの水が使われており、水の保有状況が世界の製造現場、またはその先の経済をも動かす要因となっている。

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