ジム・ローリーという中国取材が長い米国人ジャーナリストを助言役に雇い、集めた記者は発足時に約100人。それが、全米各地に設けた支局員を合わせ、じき150人規模に膨らんだ。「ビズ・アジア・アメリカ」というビジネス情報番組と、中南米ニュースを流す「アメリカズ・ナウ」という番組が発足来の2本柱だ。
アジア経済の情報は、一にも二にも中国に関連するネタだ(日本など無視しなさい)と意識下に浸透させたい意図が、前者の命名ぶりに窺える。
スペイン語人口は米国で著増しているのに、米国メディアはメキシコ以南の話を満足に伝えない。とかく米国への反発を抱く中南米に、CCTVは入りやすい。それなら北京との関係でも支障が起きにくい中南米報道で声価を得ることで、CCTVアメリカをプロパガンダ機関とみなす向きを減らせはしないか。後者を売り物にしたのはそんな目算あってのことか。
メインのキャスターは中国系男性だが、北京直結の印象は与えない。共和党から連邦上院議員を狙った経歴さえもつ生粋の米国人なのである。
その相方は南アフリカ出身の白人女性。討論番組で司会をする白人男性は、優秀テレビ作品に与えられるエミー賞を5度も得たキャリアからして、同業者たちに一目置かれる存在だろう。
かつて「日本封じ込め」という論文を書き我が国でも有名なベテラン記者ジェームズ・ファローズなど、彼らがつくる番組の洗練ぶりに驚いたという趣旨を、ブログで述べたくらいだ。
長引くメディア不況で、ジャーナリストの雇用機会は細った。CCTVアメリカは、ブルンバーグやBBCなどからの転職者にとって、高い給与をもらえる有難い職場となった形だ。
番組の作りにはまだ素人臭がある。中国に批判的な言辞は吐けない。動画投稿サイトへの投稿は禁じられているから、裏サイトへ行かないとアップロードされた番組が見られないなど「いかにも」ではある。しかしあえて中国人主導とせず、才能を広く集める冒険をした。中国人の支局長にしても、英国で修士号をとった女性だ。
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