第2次安倍内閣が12月26日に発足し、尖閣諸島の国有化をめぐる日中対立は「野田民主党政権V.S.胡錦濤指導部」の第1ラウンドから「安倍自民党政権V.S.習近平指導部」の第2ラウンドに突入した。安倍晋三首相は日米同盟を基軸としながら、中国や韓国との関係修復を目指す外交方針を示している。果たして、安倍首相は1972年の日中国交正常化以来40年間で「最悪」と言われる日中関係を立て直すことができるのか。2013年の見通しを探った。
世界は日本の右傾化を懸念
米も日中和解呼び掛け
安倍自民は衆院選の選挙公約として、憲法改正、集団的自衛権の明確化、自衛隊の国防軍化など、外交・安全保障の強硬方針を掲げた。尖閣については、実効支配を強化するため公務員常駐を検討することも盛り込んだ。
衆院選での自民党大勝を受け、過去に日本の侵略・統治を受けた中国や韓国だけでなく欧米からも日本の「右傾化」「軍事大国化」への懸念が強まっている。
英紙ガーディアンの論評は「安倍氏が長く首相を続けたいなら、尖閣の実効支配を強化するという公約を放棄せよ」といさめ、日中両国がこれ以上対立を深めないように警告を発した。
米紙ワシントン・ポストの社説も「米国だけでなく、フィリピンなどの東南アジア諸国は、民主主義の価値を共有する日本を、台頭する中国に対する重要な均衡力として重要視している」「安倍氏が過去の戦争の罪を進んで認めれば、日本はアジアの安全保障においてより建設的な役割を果たす位置に立てるだろう」と分析し、尖閣問題については「日中の指導者は、対決より協力から、より多くが得られるということを認識してほしい」と日中和解を呼び掛けた。
米議会は尖閣について「日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象」と明記した13会計年度(12年10月~13年9月)国防権限法案を可決した。この法案は中国に対する「抑止力」(アーミテージ元国務副長官)といえるが、米政府は日中両国が“ちっぽけな岩”のために戦争し、米軍が出動する事態になることなど、決して望んでおらず、日中両国に自制を呼びかけ続けている。
日中関係の「適切」な処理
9月の尖閣国有化以来、12月21日までの間に中国の監視船は19回にわたって尖閣領海に侵入。13日には中国・国家海洋局所属のプロペラ機Y12が初めての領空侵犯を行った。中国船が領海外側の接続水域に入ってくる頻度はさらに多く、安倍内閣発足の当日まで3日連続で日本を威嚇してきた。