中国の楊潔篪(竹かんむり+褫のつくり)外相は14日付の共産党機関紙、人民日報に「始終変わらず平和発展の道を行く」と題した外交方針に関する長い論文を掲載し、「われわれは中日関係を適切に処理し、同時に日本政府が不法に釣魚島(尖閣諸島)を“購買”したなどの問題をめぐっては、日本側と断固とした闘争を進める」と断言した。
この論文は12年11月の第18回党大会の中央委活動報告に関する学習資料であり、党大会後に発足した習近平指導部が引き継ぐべき“平和外交”の基本方針を説明したものだ。
論文は国・地域別の外交については米国、ロシア、欧州、日本の順番で基本方針を説明し、周辺諸国との関係の部分では「われわれは原則を堅持し、一部周辺諸国との島の主権、海洋権益の争いを適切に処理する」とし、フィリピンやベトナムなどとの南沙諸島の領有権争いにも「適切」に対応する方針を示した。
対話呼び掛ける中国
中国は尖閣国有化について「日本は誤りを正せ」という主張を変えてはいないが、衆院選後の中国メディアの論調を注意深く読めば、安倍新政権との対話を通じて両国関係の修復を進めたいという新たなシグナルが読み取れる。
17日付の人民日報に掲載された論評「日本当局が混乱した局面をどのように収拾するのかを見守る」(ペンネーム・鐘声)は日本政府に対し(1)靖国参拝(2)尖閣問題(3)憲法改正-の3点を正しく処理するよう求めた。
一方、結びの段落では「中日関係が進むか後退するか、まさに重要な段階にある。両国は外交を通じて、釣魚島の主権争いに関する共通認識を再びつくることについて交渉している。日本の新しい指導者は大局とアジアの長期的な発展から出発し、争いの激化を避け、共同で有効に危機を管理し、できるだけ早く焦点を中日協力と地域協力など重要なテーマに移すよう希望している」と安倍氏に対し関係改善を呼び掛けた。
さらに19日付人民日報の論評「日本の政治家はボトムラインを持つべきだ」(同)は日本に平和憲法の堅持を求める一方、「『中国人民の心情を言うなら、日本人民との友好を希望しており、日本の90数%の人は中日友好を願っている』。これは中国の指導者鄧小平が1987年、日本の友人に話した言葉だ。中国人民の心情に変わりはない。日本人民が中日友好を願っているという中国人民の判断も変わりがない」と“友好コール”を送ってきた。