僕のお師匠さんだった時実新子(ときざねしんこ)さんの句、見てみて。
雪の日の裸身美しかれと脱ぐ 時実新子
のぞみ うわあ、ドキッとする句・・・・・・。雪そのものを見た印象を詠むんじゃなくて、主体があくまで自分。まさに自分史川柳ですね。
ショーゼン 慣れていない詠み手というのは、「まずその言葉からすぐに思いつくこと」を句にしがちです。だからみんな、「雪」と聞いたら雪そのものを詠んじゃうの。でもその言葉をいったんひっくり返したり噛み砕いたりしているうちに、自分なりの視点で「雪」というものが見えてくるはず。そこを掴まえたら、きっと自分なりの句ができますよ。
類句が出てしまったら
こだま もし句会で似た句が出てしまったら、なんだか恥ずかしいですね。
ショーゼン 大きな句会になると、一字一句違わない句が同時に出てしまったりすることがあります。本当です。作者が同性で同じ年代だったりすると、発想が似てしまうんですね。もうこうなれば決めるのは作者の良心。いさぎよくその句をゆずることも時には大切です。
気をつけなければならないのは、「うっかりミス」。いつかどこかで目にした句が頭にこびりついていて、自分の句であると混同し提出してしまうことがあります。意識して盗作したわけではなくても、指摘されたら素直に謝りましょうね。
先輩や有名作家の句をノートに書きとめたりしていると、そのノートに自分の句も混ぜて書き込むことになります。他人の句を書きとめる場合は詠み手の名前も一緒に控えておくなど、勉強の際にも注意しましょう。