2022年10月7日(金)

Wedge SPECIAL REPORT

2022年1月18日

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小黒一正 (おぐろ・かずまさ)

法政大学経済学部 教授

1974年生まれ。専門は公共経済学。京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月より現職。近著に『日本経済の再構築』(日本経済新聞出版社)など。

「Wedge」2022年1月号に掲載され、好評を博した特集「破裂寸前の国家財政 それでもバラマキ続けるのか」記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
 
KOKOUU/GETTY IMAGES

 ワクチン接種や治療薬の開発が進み、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う問題にも一定の目途がついてきた。いずれ第6波も到来し、しばらくの間、新型コロナとの攻防が継続すると思われるが、この問題も徐々に人類が制御可能な領域に誘導できるだろう。そのときわれわれはコロナ禍前に直面していた最も大きな問題に再び直面する。それは「財政・社会保障の問題」である。

 改革議論の「たたき台」となる試算は既に存在する。それは、2018年5月に政府が公表した社会保障給付費の将来試算だ(下図参照)。この試算のうち名目国内総生産(GDP)成長率が1%程度の低成長ケースでは、18年度に対GDP比で21.5%であった社会保障給付費(121.3兆円)は40年度に約24%(約190兆円)になり、給付費は約2.5%ポイント増加する。

 消費税率を1%引き上げると概ねGDPの約0.5%分の税収増が見込めるため、この給付費の伸び(約2.5%ポイント)を仮に消費税のみで対応すれば約5%の引き上げが必要となる。加えて、現在の財政赤字の縮小を目指すならば、40年度の消費税率は22%にまで引き上げなければならない。

 社会保障財政の持続可能性を高めるために必要な負担を国民全体で分かち合うことは当然だが、コロナ危機で傷ついた人々や企業に対する配慮も必要だ。また、低成長で賃金も伸び悩んでおり、現役世代の負担にも一定の限界があるのは明らかだろう。40年に向けて人口減少・少子高齢化は一層進むが、目前に差し迫る超高齢社会を前に、改革のデッドラインは刻一刻と迫っている。いま最も必要なのは「社会保障制度の再構築」である。一定の痛みを伴う改革は避けられないが、その痛みを少しでも緩和する制度改革の「仕掛け」を講じることはできるはずだ。

 ここでは、拙著『日本経済の再構築』(日本経済新聞出版社)の政策提言をベースに、社会保障給付費のおよそ7割を占める「年金」(35.8%)と「医療」(35.3%)の分野における具体的な改革案の方向性を示しておこう。

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