2022年10月3日(月)

#財政危機と闘います

2021年12月20日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

関東学院大学経済学部教授

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。15年4月から中部圏社会経済研究所研究部長を経て、22年4月より現職。

 現在の日本では、国債のデフォルトが起きる確率はかなり低いが、財政赤字の累積がインフレを昂進させ、私たちの日常生活を破壊する点については、すでに「財政破綻の真の問題は国民生活の破綻」で述べた。

 今回は、制御不能なインフレの昂進によって日本銀行による財政赤字の穴埋めが不可能になり、政府が大幅な歳出削減を余儀なくされるとした場合、私たちの生活がどうなるのかについて、もう少し詳しく見ていくこととしたい。

(cgdeaw/gettyimages)

預金が封鎖され、金融機関は連鎖倒産

 インフレは金利の高騰をもたらす。そして金利の高騰は国債を手放す人を増やし、国債価格の暴落をもたらす。インフレを止め金利の高騰を止めるためには、日本銀行が国債の購入を止め政府の購買力を削減するとともに、民需の抑制も必要になる。

 そこで、政府は身の丈に合わない歳出削減と預金封鎖、増税をすることで、公需と民需の抑制を図る。さらに、預金封鎖の実効性を高めるために、新紙幣を発行することで新円への切り替えを図り、旧円と新円の交換制限を実施するので、高インフレと相まって必要な生活物資の入手が著しく困難になる。

 増税規模については、仮に国債発行額と同等になるとすれば、2021年度補正予算後ベースでは65.7兆円、消費税に換算すると30%に相当する。もちろん、21年度予算はコロナ対策などイレギュラーな支出で歳出規模が膨れ上がっているので極端な数値ではあるものの、12年11月を谷として景気回復基調にあった17年度でも国債は35.6兆円発行されていたので、消費税18%程度に相当する。

 国債価格の暴落により、それまで運用の多くを国債に依存していた銀行や生命保険会社などの金融機関はバランスシートが大きく毀損し、体力の弱い金融機関から経営破綻することになる。金融機関の連鎖破綻が相次ぐと、日本の金融システム全体が麻痺し、機能不全に陥る。必要なところに必要な資金が回らなくなり、経済の混乱により拍車がかかる。

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