#財政危機と闘います

2021年10月25日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

中部圏社会経済研究所研究部長

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。2015年4月から現職。

 月刊誌「文藝春秋」11月号に掲載された矢野康治財務事務次官の「財務次官、 モノ申す『このままでは国家財政は破綻する』」という寄稿文が物議をかもしている。しかし、わたしも実際に読んでみたが、まったくの正論である。

(nadia_bormotova/gettyimages)

 NHKの世論調査によれば、矢野財務次官の主張について、「そう思う」が45%、「そうは思わない」が41%と賛成が多く、コロナ禍を口実としたバラマキによる財政悪化を懸念している国民も多くいることが明らかになった。

票をカネで買うバラマキ合戦

 しかし、残念ながら、「心あるモノ言う犬」が嚙みついた先の政界の反応は鈍い。19日に公示された第49回衆議院議員総選挙での与野党の選挙公約には、安定財源の裏付けのないバラマキが躍っている。つまり、国民が心からバラマキを待ち望んでいると考え、安定財源の裏付けのない給付金や消費税減税(廃止)を与野党で競い合っている。

 昨年4月に全国民一律に10万円の特別定額給付金を支給してから今月1日に緊急事態宣言が解除されるまで、何度も給付金を支給するタイミングがあったにもかかわらず、急に選挙を前にして与野党が一致して国民に給付金を約束するのは、選挙目当て以外の何物でもないだろう。厳しい言い方をすれば、今回の選挙戦では、票をカネで買うに等しい買収合戦が繰り広げられているのだ。

実際は縮小している所得格差

 こうしたバラマキ合戦の背景には、アベノミクスにより日本では所得格差が拡大したとの認識が与党野党問わずあるようだ。しかし、現実は全くの逆である。

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